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資料1-3 リオシグアト及びHIVプロテアーゼ阻害剤の電子化された添付文書一覧 (28 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27607.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和4年度第10回)
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16. 薬物動態

表3.

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人及びHIV感染患者に対し,アタザナビル400mg又はアタザナビル300mgと
リトナビル100mgを,それぞれ1日1回投与したときの薬物動態パラメータを表1に
示す。(外国人における成績)
表1. 健
 康成人及びHIV感染患者にアタザナビル又はアタザナビルとリトナビルを食事
とともに投与したときの定常状態におけるアタザナビルの薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL)
幾 何 平 均 値( 変 動
係数%)
Tmax(h)
中央値
AUC(ng・h/mL)
幾 何 平 均 値( 変 動
係数%)
半減期(t1/2)(h)
算 術 平 均 値( 標 準
偏差)
Cmin(ng/mL)
幾 何 平 均 値( 変 動
係数%)
a:n=26

アタザナビル400mg/日

幾何平均値
幾何平均値比
(変動係数%)
(90%信頼区間)
b
絶食 軽食 高脂肪食
軽食/絶食 高脂肪食/絶食
Cmax
ATV400mg
1795 2824
1795
1.57
1.00
(ng/mL)
(66) (29) (33) (1.28-1.93) (0.82-1.23)
ATV300mg
2391 3341
2120
1.40
0.89
+RTV100mg (49) (37) (35) (1.17-1.66) (0.75-1.06)
AUC(INF) ATV400mg
7392 12562
10000
1.70
1.35
(ng・h/mL)
(69) (37) (43) (1.41-2.05) (1.12-1.63)
ATV300mg
22255 29807
22430
1.33
1.01
+RTV100mg (45) (37) (35) (1.17-1.52) (0.89-1.15)
Cmin
ATV300mg
275
388
358
1.40
1.33
(ng/mL) +RTV100mg (50) (46) (45) (1.24-1.57) (1.18-1.49)
a:アタザナビル400mgでは18例,アタザナビル300mg+リトナビル100mgでは40例
b:アタザナビル300mg+リトナビル100mgでは42例
パラメータ

アタザナビル300mg/日
+リトナビル100mg/日
健康成人
HIV感染患者
(n=28)
(n=10)

健康成人
(n=14)

HIV感染患者
(n=13)

5199(26)

2298(71)

6129(31)

4422(58)

2.5

2.0

2.7

3.0

28132(28)

14874(91)

57039(37)

46073(66)

7.9(2.9)

6.5(2.6)

18.1(6.2)a

8.6(2.3)

159(88)

120(109)

1227(53)

636(97)

投与量a

16.3 分布
アタザナビルのヒト血清蛋白への結合は濃度によらず86%であった。アタザナビ
ルはα1-酸性糖蛋白(AAG)及びアルブミンに結合し,両者への結合率はそれぞれ
89%及び86%と同程度であった。HIV感染患者に軽食とともに400mgの本剤を1日1
回,12週間反復投与した試験では,脳脊髄液及び精液からアタザナビルが検出され
た。脳脊髄液/血漿の濃度比(n=4)は0.0021~0.0226の範囲で,精液/血漿の濃度
比(n=5)は0.11~4.42であった。(外国人における成績)
16.4 代謝
アタザナビルのヒトにおける主な代謝は一酸化及び二酸化反応である。その他,代
謝経路の寄与としては大きなものではないが,アタザナビルあるいはその代謝物
について,グルクロン酸抱合,N-脱アルキル化,加水分解及び脱水素を伴う酸化
反応の代謝経路も存在した。血漿中からは2種の代謝物が検出されたが,いずれも
in vitro において抗ウイルス活性を示さなかった。ヒト肝ミクロソームを用いたin
vitro 試験からアタザナビルはCYP3A4による代謝を受けることが示された。(外国
人における成績)
16.5 排泄
14
C-アタザナビル400mgを単回投与したとき,標識放射能の79%が糞便中に,13%
が尿中に排泄された。また,糞便中及び尿中への未変化体の排泄率はそれぞれ投与
量の約20%及び7%であった。(外国人における成績)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎障害
透析を施行していない重度の腎障害者(30mL/min未満)に本剤400mgを反復投与
したときのCmaxは腎機能正常者よりも9%低く,AUC及びCminはそれぞれ19%及び
96%高かったが,透析を施行している重度の腎障害者に透析を施行しなかったとき
並びに投与2時間後に透析を施行したとき,Cmax及びAUCは腎機能正常者よりも約
30〜50%低かった。透析を施行していない腎機能障害患者に用量調節の必要はない。
(外国人における成績)[7.5,9.2.1参照]
16.6.2 肝障害
アタザナビルは主に肝臓で代謝を受けて消失する。中等度~重度の肝障害成人被験
者(Child-Pugh B群14例及びC群2例)において400mg単回投与後の薬物動態を検
討した結果,肝障害者のAUCは健康成人に比べて45%高かった。また,健康成人の
半減期が6.4時間であるのに対し,肝障害者では12.1時間であった。(外国人におけ
る成績)[7.4,9.3.1,9.3.3参照]
16.6.3 高齢者
若年者(29例,18~40歳)と高齢者(30例,65歳以上)の健康成人において,単回
投与時のCmax及びAUCは高齢者の方が17%高かった。両者に著しい違いはなく,薬
物動態を基にした年齢による投与量の調整は推奨されない。(外国人における成績)
[9.8参照]
16.6.4 小児
6~18歳のHIV感染患者にアタザナビルとリトナビルをそれぞれ体表面積換算で1日
1回投与したときの定常状態におけるアタザナビルの薬物動態パラメータを表4に示
す。(外国人における成績)
表4. 小児HIV感染患者にアタザナビル(カプセル剤)とリトナビルを投与したとき
の定常状態におけるアタザナビルの薬物動態パラメータ

HIV感染患者に対して,アタザナビル400mg(200mgカプセル2カプセル)又はアタ
ザナビル300mg(150mgカプセル2カプセル)とリトナビル100mgを,1日1回,軽
食とともに投与したときの定常状態におけるアタザナビルの平均血漿中濃度を図1
に示す。(外国人における成績)

図1. H
 IV感染患者に対するアタザナビル400mg(n=13)又はアタザナビル300mg
とリトナビル100mg(n=10)投与時の定常状態におけるアタザナビルの平均
血漿中濃度(SD)
16.1.2 反復投与
アタザナビルは非線形の薬物動態を示し,投与量200〜800mgの範囲でAUC及び
Cmaxは投与量に比例する用量比以上の増加を示した。投与開始後4〜8日で定常状態
に達し,累積係数は約2.3であった。1日400mgを軽食とともに反復投与したとき,
健康成人(n=214)及び成人HIV感染患者(n=13)における定常状態の消失半減
期は約7時間であった。(外国人における成績)
日本人健康成人男子(12例)にアタザナビル400mg(200mgカプセル2カプセル)
を1日1回6日間食事とともに反復投与したときの定常状態(6日目)の薬物動態パラ
メータ及び平均血漿中濃度推移を表2及び図2に示す。
表2. 健康成人にアタザナビル400mgを1日1回6日間食事とともに反復投与したとき
の定常状態の薬物動態パラメータ
パラメータ
Cmax(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
Tmax(h)
中央値
AUC(ng・h/mL)
幾何平均値(変動係数%)
半減期(t1/2)(h)
算術平均値(標準偏差)
Cmin(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)

 康成人に絶食時,軽食あるいは高脂肪食とともにアタザナビル400mg,アタ

ザナビル300mgとリトナビル100mgを単回経口投与したときのアタザナビルの
薬物動態パラメータ

健康成人(n=12)
6238(7)
1.8
38814(15)

投与量(mg)中央値
[min-max]
Cmax(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)
AUC(ng・h/mL)
幾何平均値(変動係数%)
Cmin(ng/mL)
幾何平均値(変動係数%)

5.7(1.7)
245(44)

アタザナビル205mg/m² 1日1回
+リトナビル100mg/m² 1日1回
6-13歳未満
13-18歳未満
(n=17)
(n=10)
200mg
400mg
[150-400]
[250-500]
4451(33%)

3711(46%)

42503(36%)

44970(34%)

535(62%)

1090(60%)

16.7 薬物相互作用
アタザナビルは肝臓でCYP3A4により代謝される。アタザナビルはCYP3A4を不可
逆的に阻害する。そのCYP3A4に対する阻害定数(Ki)
は0.84〜1.0μMである。また,
UGT1A1を阻害し,そのKi値は1.9μMである。
アタザナビルはCYP2C8の阻害剤であり,Ki値は2.1μMである。アタザナビルは
CYP1A2及びCYP2C9を競合的に阻害し,Ki値は12μM,Cmax/Ki値比は約0.25であ
る。本剤はCYP1A2あるいはCYP2C9により代謝される薬物と薬物相互作用を発現
する可能性が考えられる。臨床用量で得られる濃度でアタザナビルはCYP2C19ある
いはCYP2E1を阻害しない。In vivo において,アタザナビルは本剤自身の代謝を誘
導せず,またCYP3A4で代謝される薬剤の代謝を促進しない。反復投与試験におい
て,本剤は尿中の内因性6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比を低下させ,
CYP3A4を誘導しないことが示唆された。
CYP3A4活性を誘導する薬剤はアタザナビルのクリアランスを上昇させ,血漿中濃
度を低下させる可能性がある。また,本剤とCYP3A4を阻害する他剤との併用投与
によりアタザナビルの血漿中濃度が上昇する可能性がある。
本剤と併用の可能性のある他剤又は薬物動態学的相互作用の指標として一般に使用
されている薬剤との薬物相互作用試験を実施した。併用投与がCmax,AUC及びCmin
に及ぼす影響を表5及び表6に示す。(外国人における成績)[10.,10.1,10.2参照]

図2.

 康成人(n=12)にアタザナビル(400mg)を反復投与したときの定常状

態の平均血漿中濃度推移
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
本剤又は本剤とリトナビルを食事とともに投与すると,アタザナビルのバイオアベ
イラビリティーが増大し,薬物動態の変動が減少する。(外国人における成績)

(6)