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【参考1】診療の手引き・第8.1版 (10 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症 COVID-19)診療の手引き・第8.1版」の周知について(10/5付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 8.1 版 ●2 臨床像

臨床像

1. 臨床像
SARS-CoV-2 に曝露されてから発症するまでの潜伏期は約 5 日間,最長 14 日間とされて

きたが,オミクロン株では短縮される傾向にあり,中央値が 2.9 日,患者の 99 % が曝露後
10 日までに発症するとされる.感染後無症状のまま経過する者の割合は,複数のメタアナリ

シスによると 20 ~ 40 %と考えられる.濃厚接触者などでは PCR 検査の陽性判明後に発症す
る場合もあることに注意する.

日本国内で 2020 年 1 月 25 日~ 2021 年 5 月 6 日までに入院した 770 例の患者(男性

57 %,年齢中央値 51.0 歳,基礎疾患あり 35 %)の積極的疫学調査によると,発症時の症状

は発熱(52 %),呼吸器症状(29 %),倦怠感(14 %)
,頭痛(8 %)
,消化器症状(6 %)

鼻汁(4 %)
,味覚異常(3 %),嗅覚異常(3 %)
,関節痛(3 %)
,筋肉痛(1 %)の順に多

くみられた.インフルエンザや普通感冒と比較して,鼻汁・鼻閉は少なく,嗅覚・味覚障害の

多いことが COVID-19 の特徴と考えられてきたが,オミクロン株による感染では,ウイルス

が上気道で増殖しやすい特性に伴い,鼻汁・鼻閉,咽頭痛などの感冒様症状の頻度が増加した.

さらに急性喉頭炎から喉頭蓋炎,小児ではクループ症候群を呈した患者の報告も増加している.
また,嗅覚・味覚障害の頻度が減少したと報告されている.

SARS-CoV-2 はまず鼻咽頭などの上気道に感染すると考えられる.多くの患者は発症から

1 週間程度で治癒に向かうが,一部の患者では感染は下気道まで進展すると考えられる.さら

に,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に至る患者もある.日本における COVID-19 入院患者レ

ジストリ(COVIREGI-JP)によると,流行初期(2020 年 3 月~ 7 月)に入院した 2,636

例の重症度内訳は,酸素投与なし(62 %)
,酸素投与あり(30 %)
,人工呼吸器治療(9 %)
であった.合併症では,血栓塞栓症が COVID-19 の特徴の一つと考えられ,死因ともなりう
る(
「4 合併症」参照).

重症の患者は高齢や肥満などのリスク因子を有することが多い(「2 重症化リスク因子」参

照).小児は一般に軽症であるが,重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要があ
る(
「5 小児例の特徴」参照)
.また,一部の妊婦も重症化しやすいと考えられる(「6 妊婦例
の特徴」参照).

現在のオミクロン株による流行では,アルファ株やデルタ株が主体の流行と比較して,酸素

療法や人工呼吸管理を必要とする患者の割合が低下していることが報告されている.英国にお

けるオミクロン株の流行では,デルタ株と比較して致死率が全体で 67% 低下した.特に 18
歳〜 69 歳以下(86 〜 87% 低下)と男性(75% 低下)で低下率が大きく,70 歳以上(55%

低下)と女性(56% 低下)で小さかった.日本国内でも死亡者に占める 80 歳以上の割合が高

くなっており,基礎疾患の増悪や心不全・誤嚥性肺炎などの発症にも注意が必要と考えられる.
オミクロン株では免疫からの逃避による再感染リスクが高いと報告されている.国内で承認

されている mRNA ワクチンは,オミクロン株に対しても,これらの重症化を防ぐ効果が高く
維持されていること,3 回目の追加接種により,その効果が増強されることが判明している.
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