よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【参考1】診療の手引き・第8.1版 (20 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症 COVID-19)診療の手引き・第8.1版」の周知について(10/5付 事務連絡)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 8.1 版 ●2 臨床像

5. 小児例の特徴
COVID-19 の小児例は,これまで成人例に比較して症例数が少なかったが,検査陽性者に占

める小児例の割合が増加傾向にあり,死亡例も報告されている.

国内小児例の臨床的特徴の経時的変化,小児の重症度,小児における死亡例,小児における

感染経路,COVID-19 流行下における小児の予防接種,小児多系統炎症性症候群(MIS-C)に
ついて概説する.

【国内小児例の臨床的特徴の経時的変化】

2020 年 1 月~ 2021 年 2 月までに入院した 18 歳未満小児入院例 1,
038 例
(年齢中央値 9 歳)

を対象とした後方視的調査では,308 例 (29.7 %) が入院時無症状であったと報告されていた.
最もよく見られた症状は,咳嗽 (37.1 %) であり,38 ℃以上の発熱を認めたのは 10.3 % であっ

た.嗅覚・味覚障害は年長児(13 ~ 17 歳)で 6 歳以上 13 歳未満児より多かった (13 ~ 17 歳:
23.7 %・24.7 %,6 歳以上 13 歳未満:6.0 %・9.8 %).予後は良好であり 2021 年 2 月 28
日時点では,死亡例はゼロであった.

デルタ株流行前(2020 年 10 月~ 2021 年 3 月)と流行期(2021 年 8 ~ 10 月)の 18 歳

未満小児入院症例 950 例および 349 例の解析では,デルタ株流行期における低年齢化(年齢
中央値 10.0 歳 vs 7.0 歳)と基礎疾患有病率の上昇(7.4 % vs 12.6 %)が認められた.ICU
入室例はデルタ株流行期に有意に増加していたものの,オミクロン株流行前に行われた同調査

においては死亡,人工呼吸管理を要する症例は認められず,デルタ株による COVID-19 も予
後良好であった.

デルタ株流行期(2021 年 8 ~ 12 月)とオミクロン株流行期(2022 年 1 ~ 3 月)の 18

歳未満小児入院症例 458 例および 389 例の解析では,オミクロン株流行期における更なる患

者の低年齢化(年齢中央値 8.0 歳 vs 6.0 歳)と基礎疾患有病率の上昇(11.6 % vs 16.7 %)
が報告された.オミクロン株流行期には臨床的特徴の変化も認められ,発熱,咽頭痛,痙攣を
呈する症例数が増加する一方で,嗅覚・味覚障害を訴える症例数は減少していた.酸素投与必
要例の増加も認められたが,ICU 入室例はデルタ株流行期と同程度であった.

日本小児科学会による調査結果では,成人患者と比較し低頻度ではあるが,小児患者におい

ても 3.5% に頭痛,倦怠感,発熱,咳嗽,嗅覚・味覚障害,腹痛,下痢などの罹患後症状を認
めている(2022 年 9 月 14 日時点).
【小児の重症度 】

小児 COVID-19 患者の基礎疾患の有無と重症化に関するシステマティックレビュー・メタ

アナリシス(42 研究,基礎疾患あり:9,353 例,基礎疾患なし:275,661 例)において,
重症化率は基礎疾患ありで 5.1 %,なしで 0.2 %,重症化の相対リスク比は 1.79(95%CI:1.27
〜 2.51)
,死亡の相対リスク比は 2.81(95%CI:1.31 〜 6.02)であった.また,基礎疾患の

ない患者における重症化因子では,肥満の相対リスク比が 2.87(95%CI:1.16 〜 7.07)であった.
アメリカにおける小児 COVID-19 入院患者(2020 年 3 月~ 2021 年 5 月)の重症化因子

の検討において,2 歳未満(745 例)における調整リスク比は,慢性肺疾患 2.2(95%CI:1.1

〜 4.3),神経疾患 2.0(95%CI:1.5 〜 2.6)
,心血管疾患 1.7(95%CI:1.2 〜 2.3)
,早産児 1.6

(95%CI:1.1 〜 2.2),気道系奇形 1.6(95%CI:1.1 〜 2.2)であった.2 ~ 17 歳(1,548 例)

における調整リスク比は,経管栄養 2.0(95%CI:1.5 〜 2.5)

糖尿病 1.9(95%CI:1.6 〜 2.3)

肥満 1.2(95%CI:1.0 〜 1.4)であった.

20