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【資料1】次世代医療機器評価指標について (9 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32218.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会(令和4年度第10回 3/27)《厚生労働省》 |
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植込型補助人工心臓に関する評価指標(案)
1. はじめに
「次世代型高機能人工心臓の臨床評価のための評価指標」(平成 20 年 4 月 4 日付薬
食機発第 0404002 号)は、次世代医療機器評価指標作成事業における最初の成果物とし
て発出された。当時、国際的には連続流型の植込型補助人工心臓が心臓移植への橋渡し
(bridge to transplantation: BTT)として承認されたばかりであり、本邦では国産機器の臨
床試験が行われていた。評価指標の策定と時期を同じくして設立された補助人工心臓治
療関連学会協議会によって植込型補助人工心臓の実施基準や実施体制が策定された。ま
た、米国 INTERMACS(Interagency Registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)
に倣い、本邦では植込型補助人工心臓登録システムとして J-MACS(Japanese registry for
Mechanically Assisted Circulatory Support)が構築された。以上のような取組みを経て、国
産の 2 機種の植込型補助人工心臓の承認に至った。
その後、欧米発の複数の植込型補助人工心臓が臨床試験を経て承認され、10 年を超
える臨床経験が蓄積されてきた。植込型補助人工心臓導入当初からの補助人工心臓治療
関連学会協議会、実施施設、実施医ならびに人工心臓管理技術認定士等の不断の努力と
協力の結晶として、欧米を凌ぐ優れた遠隔成績を生み出した。一方で欧米では、長期生
命維持を目的とした destination therapy(DT)を対象とする機器の許認可以降、移植を前
提としない植込型補助人工心臓による長期補助が現実的な選択肢として導入された。本
邦においては著しく心臓移植ドナーが少ないために、BTT においても現行の評価指標
作成時の想定を超える長期の補助が必要な状況に直面した。また、本邦においても DT
の適応追加が承認された。そのため、長期補助を経験する中で当初予測できなかった新
たな不具合等や臨床評価の基本的考え方等について、現行の評価指標の記載内容とそぐ
わない点等が生じることになった。その状況を鑑み、長期補助の信頼性評価への要求が
高まると共に、耐久性試験における評価期間の妥当性については、追加での議論を要し
た。
植込型補助人工心臓の国内治験については、本評価指標の初版が作成されて以降しば
らく実施されてきたが、最新の植込型補助人工心臓においては、新たな国内治験を行わ
ずに承認するに至っている。これより、国内治験のあり方についても改めて検討する必
要が生じた。将来的には臨床試験において BTT と DT とを区別する必要がなくなる可
能性があるが、現時点では BTT と DT という明らかに目的の異なる適応があるために、
区別して整理することとなった。加えて「2021 年改訂版重症心不全に対する植込型補
助人工心臓治療ガイドライン」(日本循環器学会/日本心臓血管外科学会/日本胸部外
科学会/日本血管外科学会合同ガイドライン:以下、植込型補助人工心臓治療ガイドラ
インと記載)、並びに「植込型補助人工心臓 DT 実施基準」(補助人工心臓治療関連学
会協議会)をふまえ、臨床試験の考え方、並びに植込型補助人工心臓装着患者の在宅管
理については、齟齬が生じないよう十分考慮する必要もあった。
このような状況を踏まえ、植込型補助人工心臓について現時点での科学的根拠を基盤
とし、且つ国際ハーモナイゼーションも考慮した非臨床及び臨床における品質、有効性
及び安全性評価を、適正且つ迅速に進める手助けとなることを意図して本評価指標(案)
を改訂・作成した。
2. 用語の定義
本評価指標(案)で使用される用語は、「植込型補助人工心臓治療ガイドライン」を
参照すること。
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植込型補助人工心臓に関する評価指標(案)
1. はじめに
「次世代型高機能人工心臓の臨床評価のための評価指標」(平成 20 年 4 月 4 日付薬
食機発第 0404002 号)は、次世代医療機器評価指標作成事業における最初の成果物とし
て発出された。当時、国際的には連続流型の植込型補助人工心臓が心臓移植への橋渡し
(bridge to transplantation: BTT)として承認されたばかりであり、本邦では国産機器の臨
床試験が行われていた。評価指標の策定と時期を同じくして設立された補助人工心臓治
療関連学会協議会によって植込型補助人工心臓の実施基準や実施体制が策定された。ま
た、米国 INTERMACS(Interagency Registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)
に倣い、本邦では植込型補助人工心臓登録システムとして J-MACS(Japanese registry for
Mechanically Assisted Circulatory Support)が構築された。以上のような取組みを経て、国
産の 2 機種の植込型補助人工心臓の承認に至った。
その後、欧米発の複数の植込型補助人工心臓が臨床試験を経て承認され、10 年を超
える臨床経験が蓄積されてきた。植込型補助人工心臓導入当初からの補助人工心臓治療
関連学会協議会、実施施設、実施医ならびに人工心臓管理技術認定士等の不断の努力と
協力の結晶として、欧米を凌ぐ優れた遠隔成績を生み出した。一方で欧米では、長期生
命維持を目的とした destination therapy(DT)を対象とする機器の許認可以降、移植を前
提としない植込型補助人工心臓による長期補助が現実的な選択肢として導入された。本
邦においては著しく心臓移植ドナーが少ないために、BTT においても現行の評価指標
作成時の想定を超える長期の補助が必要な状況に直面した。また、本邦においても DT
の適応追加が承認された。そのため、長期補助を経験する中で当初予測できなかった新
たな不具合等や臨床評価の基本的考え方等について、現行の評価指標の記載内容とそぐ
わない点等が生じることになった。その状況を鑑み、長期補助の信頼性評価への要求が
高まると共に、耐久性試験における評価期間の妥当性については、追加での議論を要し
た。
植込型補助人工心臓の国内治験については、本評価指標の初版が作成されて以降しば
らく実施されてきたが、最新の植込型補助人工心臓においては、新たな国内治験を行わ
ずに承認するに至っている。これより、国内治験のあり方についても改めて検討する必
要が生じた。将来的には臨床試験において BTT と DT とを区別する必要がなくなる可
能性があるが、現時点では BTT と DT という明らかに目的の異なる適応があるために、
区別して整理することとなった。加えて「2021 年改訂版重症心不全に対する植込型補
助人工心臓治療ガイドライン」(日本循環器学会/日本心臓血管外科学会/日本胸部外
科学会/日本血管外科学会合同ガイドライン:以下、植込型補助人工心臓治療ガイドラ
インと記載)、並びに「植込型補助人工心臓 DT 実施基準」(補助人工心臓治療関連学
会協議会)をふまえ、臨床試験の考え方、並びに植込型補助人工心臓装着患者の在宅管
理については、齟齬が生じないよう十分考慮する必要もあった。
このような状況を踏まえ、植込型補助人工心臓について現時点での科学的根拠を基盤
とし、且つ国際ハーモナイゼーションも考慮した非臨床及び臨床における品質、有効性
及び安全性評価を、適正且つ迅速に進める手助けとなることを意図して本評価指標(案)
を改訂・作成した。
2. 用語の定義
本評価指標(案)で使用される用語は、「植込型補助人工心臓治療ガイドライン」を
参照すること。
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