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資料4 財政総論 (50 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20230414zaiseia.html
出典情報 財政制度分科会(4/14)《財務省》
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経済成⻑につながる財政のあり⽅



○ 経済低迷の原因は財政出動が不⼗分だったからだという指摘も聞かれるが、これまでも当審議会から指摘しているとおり、成⻑⼒を
⾼めていくためには、財政の規模ありきではなく、歳出の中⾝を⾒直し、成果を出せるものとしていくことが必要。
令和五年度予算の編成等に関する建議(令和4年11⽉ 財政制度等審議会) (抜粋)

これまでの
拡張的な
財政運営

持続的な
成⻑には
つながって
いない

規模ありき
ではなく、
成果志向の
⽀出を徹底
する必要



⽇本経済の⻑期低迷の原因は、財政出動が不⼗分だったからだという指摘も聞かれる。しかし、直近30年間のプライマリーバランス
対GDP⽐で⾒ると、⽇本は単純平均で対GDP⽐▲4.6%と、⽇本よりも成⻑率が⾼かった欧⽶主要国と⽐べて最悪の⽔準である。
先ほど述べたとおり名⽬GDPで⽇本に並びかけているドイツは、最近では新型コロナ対策やエネルギー価格⾼騰対策等によって財政状
況が悪化してきているものの、それまでは健全な財政状況を維持し続けていた。このように、財政の規模と、経済の成⻑⼒とは、単純に
結びつけられるものではない。



欧⽶諸国でもリーマンショックやコロナ禍のような危機時には⾚字幅を拡⼤させているが、その他の時期では財政状況は改善している。こ
れに対して⽇本では、この30年間、⼀貫して⾚字が継続していることが特徴的である。この期間の⽇本財政の悪化は、少⼦⾼齢化
に伴う社会保障関係費の増加が主因であるが、経済対策や減税等を重ねてきたことも影響している。



⽇本の財政⽀出対GDP⽐はOECD諸国の平均を⼤きく上回るペースで増加してきており、結果として財政⾚字が継続し、1990年代
初頭は200兆円台であった債務残⾼は1,000兆円を超えるに⾄っている。それにも関わらず、名⽬GDPはほぼ横ばいのままである。経
済低迷と財政悪化が同時に進⾏していたということにほかならない。名⽬政府⽀出の乗数効果も、趨勢(すうせい)的に低下してきて
いる。少なくとも、この間の拡張的な財政運営は、持続的な成⻑にはつながっていない。



こうした経緯から⾒ても、単に財政⽀出を拡⼤することで経済成⻑を図ろうとしても、結果は望み難い。限られた財政資源を最適な形
で配分するため、政策の優先順位付けとスクラップ・アンド・ビルドを通じて、真に効果的な施策への絞込みを⾏うなど、メリハリのつい
た予算を作成し、成果を挙げられる⽀出に重点化していく必要がある。



「ワイズ・スペンディング」とは、財政⽀出の中⾝を精査して、より付加価値を⽣み出すような⽀出に重点化していくことであり、「アンワイズ」
な⽀出を特定して⾒直すこととセットでなければならないことも、改めて認識する必要がある。⼀⽅的に、特定分野の⽀出を「ワイズ」だと
する議論は、単なる歳出拡⼤論と変わらない。このように、「ワイズ・スペンディング」という⾔葉が、単に財政⽀出の規模を膨らませるため
の⽅便として使われかねないことには、留意が必要である。



⼤事なことは、歳出の中⾝を⾒直し、成果を出せるものとしていくことである。「規模ありき」ではなく、「アウトカム・オリエンテッド・スペ
ンディング(成果志向の⽀出)」を徹底し、成果を検証していくべきである。