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資料1-3 ビソプロロール 調査結果報告書及び添付文書[2.5MB] (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38855.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和5年度第15回 3/26)《厚生労働省》 |
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いる 9。
妊娠中に使用できる β 遮断薬は添付文書上アテノロール、ラベタロール、プロプラノロー
ル、ソタロール等があるが、ビソプロロール(以下、本薬)に関しては添付文書に「妊婦又は妊
娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児毒性(致死、発育
抑制)及び新生児毒性(発育毒性等)が報告されている。」と記載されている通り「禁忌」とさ
れている。
β 遮断薬もしくは αβ 遮断薬は、同群薬といえども、受容体の選択性や内因性交感神経刺激
作用(intrinsic sympathomimetic activity: ISA)
・膜安定化作用(membrane stabilizing
activity: MSA)の有無により、各薬剤が特徴を持つ。そのため、疾患・病態ごとに有効性の高
いものと低いもの、もしくは有効性を認めないものがある。本薬とカルベジロールは、他の β
遮断薬と比較して、心筋症や虚血性心疾患を原因とした慢性心不全患者の合併症リスクを下げ、
生命予後を改善する効果が大きいという大規模試験結果が複数報告されている 10,11。また、アテ
ノロール、ラベタロール等の現行妊婦に使用できる β 遮断薬にはない適応疾患「次の状態で、
アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、利尿薬、ジギタリス製
剤等の基礎治療を受けている患者 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全」をも
つ。さらに、慢性期の頻脈性心房細動に対する心拍数調節療法の薬物治療については、ISA のな
い β 遮断薬が用いられ、特に本薬、カルベジロールの使用が推奨されている 9。
また、
「妊娠と薬情報センター」に設置された「情報提供ワーキンググループ」
(以下、
「ワーキ
ンググループ」
)において、β 遮断薬の国内使用実態を調査したところ、レセプト情報を利用した
処方数の集計(参考資料 1)
、
「妊娠と薬情報センター」の相談件数(参考資料 2)から、妊娠年齢
女性に対して β 遮断薬のうち本薬が頻用されていることが推察された。
今般、医療環境や最新の知見を含めた以上の背景に加え、日本循環器学会、日本小児科学会よ
り妊婦禁忌の解除の要望を受けたことも踏まえ、ワーキンググループは、β 遮断薬のうち、虚血
性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全の適応を有し、収縮不全を伴う心不全や頻脈性心
房細動への使用が推奨されている本薬について、添付文書における「妊婦又は妊娠している可能
性のある女性には投与しないこと。
」の注意喚起の適正性を検討するに至った。
参考文献
1. 妊産婦死亡症例検討評価委員会, 日本産婦人科医会. 母体安全への提言 2018 Vol. 9.
https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/botai_2018.pdf
2. Ruys TPE, Roos-Hesselink JW, Hall R, Subirana-Domènech MT, Grando-Ting J, Estensen M,
Crepaz R, Fesslova V, Gurvitz M, Backer JD, Johnson MR, Pieper GP. Heart failure in
pregnant women with cardiac disease: data from ROPAC. Heart 2014 ;100: 231-8.
3. Konishi TY, Kamiya CA, Shionoiri T, Nakanishi A, Iwanaga N, Izumi C, Yasuda S,
Yoshimatsu J. Pregnancy outcomes in women with dilated cardiomyopathy: peripartum
cardiovascular events predict post delivery prognosis. J Cardiol. 2021 ;77:217-23.
4. Silversides CK, Grewal J, Mason J, Sermer M, Kiess M, Rychel V, Wald RM, Colman JM,
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妊娠中に使用できる β 遮断薬は添付文書上アテノロール、ラベタロール、プロプラノロー
ル、ソタロール等があるが、ビソプロロール(以下、本薬)に関しては添付文書に「妊婦又は妊
娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児毒性(致死、発育
抑制)及び新生児毒性(発育毒性等)が報告されている。」と記載されている通り「禁忌」とさ
れている。
β 遮断薬もしくは αβ 遮断薬は、同群薬といえども、受容体の選択性や内因性交感神経刺激
作用(intrinsic sympathomimetic activity: ISA)
・膜安定化作用(membrane stabilizing
activity: MSA)の有無により、各薬剤が特徴を持つ。そのため、疾患・病態ごとに有効性の高
いものと低いもの、もしくは有効性を認めないものがある。本薬とカルベジロールは、他の β
遮断薬と比較して、心筋症や虚血性心疾患を原因とした慢性心不全患者の合併症リスクを下げ、
生命予後を改善する効果が大きいという大規模試験結果が複数報告されている 10,11。また、アテ
ノロール、ラベタロール等の現行妊婦に使用できる β 遮断薬にはない適応疾患「次の状態で、
アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、利尿薬、ジギタリス製
剤等の基礎治療を受けている患者 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全」をも
つ。さらに、慢性期の頻脈性心房細動に対する心拍数調節療法の薬物治療については、ISA のな
い β 遮断薬が用いられ、特に本薬、カルベジロールの使用が推奨されている 9。
また、
「妊娠と薬情報センター」に設置された「情報提供ワーキンググループ」
(以下、
「ワーキ
ンググループ」
)において、β 遮断薬の国内使用実態を調査したところ、レセプト情報を利用した
処方数の集計(参考資料 1)
、
「妊娠と薬情報センター」の相談件数(参考資料 2)から、妊娠年齢
女性に対して β 遮断薬のうち本薬が頻用されていることが推察された。
今般、医療環境や最新の知見を含めた以上の背景に加え、日本循環器学会、日本小児科学会よ
り妊婦禁忌の解除の要望を受けたことも踏まえ、ワーキンググループは、β 遮断薬のうち、虚血
性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全の適応を有し、収縮不全を伴う心不全や頻脈性心
房細動への使用が推奨されている本薬について、添付文書における「妊婦又は妊娠している可能
性のある女性には投与しないこと。
」の注意喚起の適正性を検討するに至った。
参考文献
1. 妊産婦死亡症例検討評価委員会, 日本産婦人科医会. 母体安全への提言 2018 Vol. 9.
https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/botai_2018.pdf
2. Ruys TPE, Roos-Hesselink JW, Hall R, Subirana-Domènech MT, Grando-Ting J, Estensen M,
Crepaz R, Fesslova V, Gurvitz M, Backer JD, Johnson MR, Pieper GP. Heart failure in
pregnant women with cardiac disease: data from ROPAC. Heart 2014 ;100: 231-8.
3. Konishi TY, Kamiya CA, Shionoiri T, Nakanishi A, Iwanaga N, Izumi C, Yasuda S,
Yoshimatsu J. Pregnancy outcomes in women with dilated cardiomyopathy: peripartum
cardiovascular events predict post delivery prognosis. J Cardiol. 2021 ;77:217-23.
4. Silversides CK, Grewal J, Mason J, Sermer M, Kiess M, Rychel V, Wald RM, Colman JM,
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