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資料1-3 ビソプロロール 調査結果報告書及び添付文書[2.5MB] (44 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38855.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和5年度第15回 3/26)《厚生労働省》 |
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7.禁忌解除の妥当性
ワーキンググループにおいて、非臨床試験結果ならびに臨床における類薬を含めた使用例の妊
娠転帰に関する情報、本薬の妊娠に係るリスク情報として添付文書で注意喚起をすることを前提
に、以下の理由から、本薬の妊婦への投与については、
「禁忌」の項から削除し、
「9.5 妊婦」の
項において「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する」旨の注意喚起
を記載することが適切であると判断した。
① 本薬は、現行妊婦に投与可能な β 遮断薬(αβ 遮断薬を含む)にはない、「虚血性心疾患
又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全」の適応症を持っている。急性・慢性心不全診療ガイ
ドライン(2017 年版)では、β 遮断薬のうち、複数の大規模臨床試験において生命予後改
善効果、死亡率の低下が示されている本薬とカルベジロールが推奨されている。また、不整
脈薬物治療ガイドライン(2020 年版)において、心拍数調節療法に用いられる内因性交感
神経刺激作用 ISA のない β 遮断薬として、本薬が挙げられていること。
② 動物試験の結果から、本薬の生殖発生に及ぼす毒性影響は、ラット及びウサギにおける高用
量での胎児毒性(胚・胎児致死、発育抑制)とラット出生児への発育抑制であると考えられ
た。さらに、これらの成績と海外の添付文書に記載されている動物試験成績から、本薬の生
殖発生に関するリスク評価において、最も懸念される毒性影響は胎児致死作用を示唆する胎
児毒性であり、この胎児毒性に対する無毒性量は、ラットでは 30mg/kg/日 及びウサギでは
10mg/kg/ 日 と み な さ れ た 。 こ れ ら の 用 量 は 国 内 で の 臨 床 使 用 状 況 か ら MRHD を 5mg
(0.083mg/kg/日)とした場合、それぞれ MRHD の 58 倍及び 39 倍(体表面積に基づく換算に
よる)に相当し、生殖発生リスクの懸念が減少するといわれている 10 倍を超えるマージンは
確保することができると考えた。同様に、胎児及び出生児の発育抑制に対する無毒性量はそ
れぞれ 30 mg/kg/日及び 10 mg/kg/日とみなされたが、これらの用量から国内の臨床使用状況
における MRHD(5 mg: 0.083 mg/kg/日)を考慮すると、それぞれ 58 倍及び 19 倍のマージン
は確保することができると考えた。
③ 海外(米国、英国、加国及び豪州)の添付文書においては、妊娠中の本薬の投与は禁忌とさ
れておらず、潜在的利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合のみ投与すべきとされて
いること。
④ 妊娠第 1 三半期の曝露と児の先天異常発生に関する情報については、本薬使用例 339 例を対
象とした研究(ドイツ奇形情報センター(1))では、対照群と比較して先天異常について発
生率の増加とは関連がみられなかった。本薬 9 例を含む β 遮断薬を妊娠初期に使用した母親
の児 798 例の研究(スウェーデン出生レジストリ(2))では、心奇形の発生率の上昇がみら
れたが他の降圧薬においても同様の結果であり、著者らは明らかな薬剤の特異性は認められ
なかったと結論づけている。薬剤の内訳は不明であるが β 遮断薬を妊娠第 1 三半期に処方さ
れた例(北米処方箋データベース(4))の解析では、心奇形を含む先天異常について発生率
の増加とは関連がみられなかった。2,628 例の β 遮断薬(本薬が含まれているかは不明)を
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ワーキンググループにおいて、非臨床試験結果ならびに臨床における類薬を含めた使用例の妊
娠転帰に関する情報、本薬の妊娠に係るリスク情報として添付文書で注意喚起をすることを前提
に、以下の理由から、本薬の妊婦への投与については、
「禁忌」の項から削除し、
「9.5 妊婦」の
項において「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する」旨の注意喚起
を記載することが適切であると判断した。
① 本薬は、現行妊婦に投与可能な β 遮断薬(αβ 遮断薬を含む)にはない、「虚血性心疾患
又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全」の適応症を持っている。急性・慢性心不全診療ガイ
ドライン(2017 年版)では、β 遮断薬のうち、複数の大規模臨床試験において生命予後改
善効果、死亡率の低下が示されている本薬とカルベジロールが推奨されている。また、不整
脈薬物治療ガイドライン(2020 年版)において、心拍数調節療法に用いられる内因性交感
神経刺激作用 ISA のない β 遮断薬として、本薬が挙げられていること。
② 動物試験の結果から、本薬の生殖発生に及ぼす毒性影響は、ラット及びウサギにおける高用
量での胎児毒性(胚・胎児致死、発育抑制)とラット出生児への発育抑制であると考えられ
た。さらに、これらの成績と海外の添付文書に記載されている動物試験成績から、本薬の生
殖発生に関するリスク評価において、最も懸念される毒性影響は胎児致死作用を示唆する胎
児毒性であり、この胎児毒性に対する無毒性量は、ラットでは 30mg/kg/日 及びウサギでは
10mg/kg/ 日 と み な さ れ た 。 こ れ ら の 用 量 は 国 内 で の 臨 床 使 用 状 況 か ら MRHD を 5mg
(0.083mg/kg/日)とした場合、それぞれ MRHD の 58 倍及び 39 倍(体表面積に基づく換算に
よる)に相当し、生殖発生リスクの懸念が減少するといわれている 10 倍を超えるマージンは
確保することができると考えた。同様に、胎児及び出生児の発育抑制に対する無毒性量はそ
れぞれ 30 mg/kg/日及び 10 mg/kg/日とみなされたが、これらの用量から国内の臨床使用状況
における MRHD(5 mg: 0.083 mg/kg/日)を考慮すると、それぞれ 58 倍及び 19 倍のマージン
は確保することができると考えた。
③ 海外(米国、英国、加国及び豪州)の添付文書においては、妊娠中の本薬の投与は禁忌とさ
れておらず、潜在的利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合のみ投与すべきとされて
いること。
④ 妊娠第 1 三半期の曝露と児の先天異常発生に関する情報については、本薬使用例 339 例を対
象とした研究(ドイツ奇形情報センター(1))では、対照群と比較して先天異常について発
生率の増加とは関連がみられなかった。本薬 9 例を含む β 遮断薬を妊娠初期に使用した母親
の児 798 例の研究(スウェーデン出生レジストリ(2))では、心奇形の発生率の上昇がみら
れたが他の降圧薬においても同様の結果であり、著者らは明らかな薬剤の特異性は認められ
なかったと結論づけている。薬剤の内訳は不明であるが β 遮断薬を妊娠第 1 三半期に処方さ
れた例(北米処方箋データベース(4))の解析では、心奇形を含む先天異常について発生率
の増加とは関連がみられなかった。2,628 例の β 遮断薬(本薬が含まれているかは不明)を
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