よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


「異種移植の実施に伴う異種移植片由来感染症のリスク管理に関するガイドライン(案)」 (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43769.html
出典情報 厚生科学審議会 再生医療等評価部会(第98回 9/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

(b) 動物集団の健康管理記録(餌の記録を含む。)
(c) 動物から異種移植片を採取・調製又は輸送するに際して行った標準作業手順の
記録
(2) 動物飼育施設が業務を取り止める場合は、(1)l及びmに規定する試料及び動物健
康管理記録を、それぞれの異種移植提供機関又は保存業務を引き継ぐ施設に移管す
ること。また異種移植提供機関に遅滞なく新たな記録や検体の保管の移管について
報告すること。

4.3 ドナースクリーニングの考え方
ドナー動物の母集団、個々のドナー動物及び異種移植片における感染因子に対するスク
リーニングについては、バイオ医薬品に用いる細胞基材のウイルス検査ガイドライン ICH
Q5A(R2)等の最新のものを参照するとともに、次に掲げる要件又はこれと同等以上の要件
を満たす方法を採ること。

4.3.1 感染症検査法の開発と妥当性評価、及び非臨床試験での評価
異種移植の開発では既知及び未知を含めてどのような感染症を診断の対象とすべきか、
また、そのためにどの様な感染因子を対象として検査を実施するべきか等、ドナー動物や
その疫学的特性等を含めて適切な試験を行う必要がある。さらに既存の試験法が十分でな
い場合には新たな検査法の開発も考慮すべきであり、開発した試験法の感度・精度等の評
価を行う必要がある。採用した検査法については、異種移植片を用いた臨床試験前に実施
する非臨床試験を通じてその妥当性の評価を行わなければならない。非臨床試験では、異
種移植片内の感染因子の同定は、そのドナー動物種の疫学的特性等を踏まえて実施しけれ
ばならない。また同定された感染因子がヒトに病原性を示し、疾病を発病させる可能性が
あるかどうかを検討しなければならない。ドナー動物種の細胞、組織又は臓器に存在する
内在性レトロウイルスや持続感染性の微生物のヒトへの病原性の解明は特に重要である。
一方で、感染した微生物が潜在化したまま持続感染している可能性についても検討を行う
こと。例えば、非常に幅広いウイルスに指向性を持つ細胞との共培養なども考慮すべきで
ある。これらの非臨床試験によって得られたデータに基づいて臨床使用に向けた異種移植
片の品質管理のための適切なスクリーニング検査法を定めなければならない。
なお、ブタについて、スクリーニング検査法を定める際に現時点で考慮しなければなら
ない感染因子については、4.1 で示したとおり別添2に掲げるドナー動物からヒトへの感
染の危険性が排除されるべき病原体リストを、参照すること。ただし、これらのリストに
挙げられた微生物の検査を省略する場合は、省略できる科学的な根拠に基づかなければな
らない。ブタ内在性レトロウイルス(PERV)については、一般的にブタにおいて、DNA
レベルでは検出されるものであり、定期的な発現・感染のモニターを必要とする。本表に
記載されていない新たな感染因子も見出されてきており、未知の感染因子が存在する可能
性を見据えた検出法の開発や適用を投与後も見据えて感染因子の監視プログラムの策定を
行うことが求められる。場合によっては移植後に免疫抑制剤を投与することにより潜在化
している感染因子が顕在化する可能性も考えられる。また、ドナー動物由来異種臓器をサ
ル等に移植するような試験では、用いる免疫抑制剤のみならず臓器そのものへの強い免疫
応答が惹起されるために感染因子の挙動が影響する可能性があることから、得られたデー
タの解釈について配慮すること。
遺伝子改変をしたドナー動物を用いる場合には、導入された遺伝子等によって本来感染
性が知られていない感染因子が感染しているリスクも想定され、目的とする動物種に限定
せず、より広範囲な検査を実施すること。また補体制御因子などヒト由来遺伝子を導入し
ている場合には、本来ヒトにしか感染しない感染因子がドナー動物に感染してしまう可能
性があり、より広範な感染因子を対象とした検査を実施する必要がある。
16