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「異種移植の実施に伴う異種移植片由来感染症のリスク管理に関するガイドライン(案)」 (24 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43769.html
出典情報 厚生科学審議会 再生医療等評価部会(第98回 9/20)《厚生労働省》
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であれば、そのような選択も可能である。異種臓器移植では、より適切な検体が想定
される場合には、再検査が実施できるような適切な保管条件で保管をすること。
試料採取タイミングとしては以下の点を考慮して採取を行うことが望ましいが、よ
り適切なタイミングでの採取が望ましい場合もある。
a 移植前1カ月おきに2回。これが無理な場合には、できるだけ時期をずらして採取
する。
b 移植直後及び1カ月、6カ月後
c 移植1年後及び2年後
d その後の試料は移植患者が生存する限り5年毎に採取する。異種移植提供計画書に
基づいて、又は移植患者の医学的経過により、必要に応じてさらに頻繁な採取を行
うこと。
(3) 移植患者が死亡した時は、少なくとも、急速冷凍固定試料、パラフィン包埋用試料、
電子顕微鏡用試料等として剖検時に異種移植片から採取し、また、死因となった臨床
症状に関連したすべての主要臓器の試料も採取する。これらの試料は、公衆衛生学的
調査のために移植実施後少なくとも 30 年間保管する。採取する臓器等については、
死因に応じて他の専門家とも必要に応じて協議の上、異種移植チームにおいて決定す
ること。
(4) 異種移植提供機関の管理者は、記録や試料を継続的に正確に保管する責任を負うこと
から、長期間の保管を確実にするように、適切な装置(例えば、監視警報装置付き冷
凍庫の使用、別個の冷凍庫に標本を分割して保管する。)を用いて保管し、移植患者
の医学的記録及び供給したドナー動物のデータと迅速に検索、照合できるようにする
こと。
(5) 非臨床試験等により、移植実施後に異種移植片にドナー動物由来の感染因子の存在が
判明した時又はそれが疑われた時には、移植患者に、当該施設の管理者ないし提供計
画の責任者によって感染因子監視プログラムに沿って臨床検査を実施しなければなら
ない。この検査の目的は、一般へ感染が伝播する前に移植患者に潜伏している感染を
検出することである。移植した組織中に存在することが判明した感染因子の検索を、
移植患者の血清、末梢血単核球又は組織について、移植後定期的に行わなければなら
ない。感染因子監視は、術直後にはより頻回(例えば術後2、4、6週間目)に行う
必要があるが、その後、臨床症状が認められなければ頻度を減らすことができる。未
知の感染因子を検出するためのメタゲノム解析も有用である。臨床症状がなくても持
続性潜伏感染を起こす微生物(例えば、ヘルペスウイルス、レトロウイルス)を検出
するための検査も実施しなければならない。対象とする動物由来の感染因子と類似の
感染因子がヒトにも存在する場合、両者を区別する検査法を採用しなければならな
い。移植患者の免疫抑制状態によっては血清学的検査が信頼できないこともあり、細
胞との共培養法に適切な検査法と組合せて実施することも考慮する。移植実施に際し
て計画した検査法の感度、特異性及び精度は、予め評価し、異種移植提供計画に記載
しておくこと。
なお、遺伝子改変によってヒトのウイルスの受容体が導入された動物では、人獣共通
感染症ばかりでなくヒト由来のウイルスが感染する可能性も考慮した微生物監視を考
慮すること。
(6) 臨床症状から予想される異種移植片由来の感染因子への感染への対策のために、保管
された試料を検査する際は、厚生労働省及び国立感染症研究所とも相談の上、公衆衛
生学的重要性を評価するための疫学調査を併せて実施すること。
(7) 何らかの理由により、異種移植提供機関において、移植患者の定期的な検査ができな
くなる場合には、別の医療機関において実施するよう措置すること。なお、引き継ぐ
医療機関は、検査及び試料の保存、施設内の感染対策等移植後の感染対策について異
種移植提供機関と同等の対応が可能な施設でなければならない。
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