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「異種移植の実施に伴う異種移植片由来感染症のリスク管理に関するガイドライン(案)」 (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43769.html
出典情報 厚生科学審議会 再生医療等評価部会(第98回 9/20)《厚生労働省》
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の動物種で問題となる感染因子及び疫学的曝露の可能性がある病原体について検査
されなければならない。個々の動物において感染症の徴候を疑う臨床所見が見られ
たときは、更に血清学的検査又は病原体の分離培養検査を行わなければならない。
もし感染症の検査が陽性であった場合には、過去の採取した検体についても検査の
実施が求められる。集団の中で一匹だけの動物が感染した場合であっても、残りの
動物について包括的な臨床的、疫学的調査が必要である。
集団あるいはコロニー、個々のドナー動物、移植患者又はその接触者に、不測の病
態が見られた場合の検査に備え、血清試料は、動物飼育施設において移植実施後少
なくとも30年間保管する。
(2) 急性感染症を引き起こす病原体が検出された場合、その動物を集団又はコロニーか
ら排除し、検査するとともに、集団又はコロニーに対しては、当該病原体の潜伏期
を越える期間にわたって、当該動物の母集団における感染の有無を監視する感染因
子監視体制をとらなければならない。
(3) 胎仔の死産又は流産を含むすべての原因不明又は不明確な動物の死については、解
剖の上、十分に検査し感染に起因するか否かを評価し、記録しなければならない。
(4) モニタリングのため、集団又はコロニーの一部の動物を死亡するまで飼育しなけれ
ばならない。
当該動物を生涯観察することにより、臨床症状が現れにくく、潜伏感染する又は遅
延発症する病原体やプリオンのような感染因子を検出できる可能性を増すことがで
きる。

4.5 動物個体の品質管理及びスクリーニング
個々のドナー動物の品質管理のため、健康管理記録には、品種、由来、医薬品使用歴を
含めることが必要である。外界との隔離期間中、ドナー動物に対して、異種移植片の臨床
での適用に影響を及ぼし得るすべての感染因子についてスクリーニング検査を実施しなけ
ればならない。具体的には以下の事項を遵守すること。

4.5.1 潜伏期間中の外界との隔離
個々のドナー動物は異種移植片採取前に、少なくとも3週間の外界との隔離期間を設け
なければならない。ただし、新生仔から異種移植片を採取する必要がある場合など、ドナ
ー動物で十分な外界との隔離期間をとることが難しい場合には、母動物などに対しても適
切な外界との隔離を実施すること。
移動に際して外界との隔離に懸念が生じる移送等が必要な場合には、特に配慮が必要で
ある。ドナー動物が集団又はコロニーから輸送される直前に曝露した感染因子による急性
疾患が、このような移送操作による曝露によって発症するリスクが生じうるためである。
この外界との隔離期間は、ドナー動物の母集団又はコロニーの特性や感染因子監視の状
態、臨床上の緊急性を考慮して最適なリスク低減策を講じること。外界との隔離期間が短
縮された場合、その理由を書面で明記し、理論的には異種移植片由来の感染症の危険性が
増加し得ることをインフォームド・コンセントの文書に明記しなければならない。
外界との隔離期間における留意事項は以下の通りである。
(1) 外界との隔離期間中、ドナー動物候補には感染因子、特に細菌、真菌、寄生虫、ウ
イルスの有無を確認するため、獣医師等により血清学的検査、病原体分離培養検
査、血球数、末血スメア、便の寄生虫検査を行わなければならない。ウイルスで人
獣共通と認知されてはいないが、ヒトやヒト以外の霊長類の細胞に生体内(in
vivo)や共培養(in vitro)で感染することが報告されているものについては、十分
に考慮すること。遺伝子組換え(recombination)若しくは相補
(complementation)により、又はエンベロープが異なるタイプの細胞に感染する
ウイルスのものと置き換わることにより、ウイルスの細胞指向性の変化
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