よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


「異種移植の実施に伴う異種移植片由来感染症のリスク管理に関するガイドライン(案)」 (26 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43769.html
出典情報 厚生科学審議会 再生医療等評価部会(第98回 9/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

方における感染症の専門家、国立感染症研究所等の未知の病原体検査の専門家、ウイ
ルスに関する生物学的安全性の専門家などと協議して行われなければならない。
(2) 移植患者に、異種移植片由来感染症又は同種移植の場合には想定できない感染症を診
断した場合、公衆衛生学的に問題となり得る感染症が疑われる場合又は通常の臨床検
査で診断が困難な未知の感染症を疑う症候を認めた場合には、実施責任者は、異種移
植提供機関の管理者に直ちに報告するとともに、最寄りの保健所及び厚生労働省に直
ちに相談すること。また、異種移植を行うことが想定される医療機関の多くは、感染
症法第 14 条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症について、都道府県知事
への届出が義務付けられている疑似症定点医療機関に指定されていることが想定され
るため、異種移植患者に重篤な感染症を疑う症候を認め、報告基準に合致する場合の
届出手順については、あらかじめ院内の感染対策責任者と相談しておくこと。また、
急性期と回復期の血清試料等については、感染症の専門家又は院内疫学専門家の判断
に基づいて可能な限り保管すること。これにより、過去にさかのぼった研究が可能と
なり、臨床症状の原因を診断できるようになる。

5.3.3 医療従事者
異種移植に伴う危険性の教育と医療従事者における感染の感染因子監視を実施するため
の健康管理計画をつくる必要がある。労働安全衛生法又は国家公務員法に基づく人事院規
則10-4(職員の保健及び安全保持)に準拠し、動物飼育施設、動物病院又は屠畜施設
において実施されている安全管理基準と同等の管理を行った場合、異種移植前に動物の組
織や臓器を取り扱う医療従事者における感染リスクは、前者のリスクを上回ることはない
と考えられる。しかし、異種移植後に患者を直接的又は間接的に診療又は看護する医療従
事者の感染リスクについては推測が困難である。就労内容の制限や免疫力の低下した従業
員の配属は、異種移植提供機関の管理者の責任で決定しなければならない。健康管理計画
には次のことを含まなければならない。
(1) 医療従事者の教育
すべての異種移植提供機関は、各業務に見合った適切な職員用の教材を作成し、十分
な教育を行うこと。教育訓練を実施した場合は、必要に応じ教育内容に応じた適切な
方法で教育訓練の効果を評価し、記録に残すこと。評価方法として、技能試験 (熟練
者と比較して技能や技能モニタリング)やテスト形式での理解の確認、面談、レポート
提出等を活用することができる。教育訓練の結果、資格認定する基準に基づき、担当
職員が当該業務に従事可能と認定し、認定日と教育訓練結果を記録しておくこと。
これらの教材には、標準的予防対策の重要性とともに、感染経路別感染対策として用
いる個人防護具(例えば、手袋、ガウン、マスク等)の使用等の一般的な感染予防対
策に加え、異種移植の過程とその過程に関連する既知及び未知の感染症のリスクにつ
いて記載すること。異種移植患者と医療従事者の間に起こりうる感染因子への曝露と
伝播を最小限に抑えるために、感染リスクが最も高いと考えられる医療活動の手法に
ついては、特に強調しておくこと。
(2) 医療従事者の感染因子監視
異種移植チームをはじめ異種移植患者の診療に従事する医療従事者、異種移植片や移
植後の異種移植患者の生体試料を扱う臨床検査技師等については、異種移植片や移植
患者と接する前に血清を採取して保管しておくこと。保管血清は、感染因子に曝露し
た時に採取された血清と比較するための対照に用いることで、感染症の原因究明に役
立つ可能性がある。これらの監視計画を設定しておくこと。
(3) 医療従事者の異種移植患者の血液・体液等への曝露後の評価と管理
針刺し事故のように、異種移植患者の血液や体液等に曝露した場合、当該医療従事者
の曝露記録を作成するとともに国へ速やかに報告すること。
26