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「異種移植の実施に伴う異種移植片由来感染症のリスク管理に関するガイドライン(案)」 (20 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43769.html
出典情報 厚生科学審議会 再生医療等評価部会(第98回 9/20)《厚生労働省》
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(pseudotyping)が認められることには特に注意しなければならない。これらの検
査はなるべく移植に近い時期に実施するのが望ましいが、少なくとも臨床使用の前
に結果が判明していなければならない。
(2) さらに、異種移植片をヒトに投与した場合の免疫拒絶を低減化するために様々な遺
伝子改変が行われたドナー動物では、その改変によって内在している感染因子の指
向性が変化する可能性がある。特に懸念されるのはエンベロープを持つウイルスで
あり、動物個体の遺伝子改変によってエンベロープの特性に大きな変化がもたらさ
れることがあり、特にα1-3Gal エピトープのような種の壁を担っている分子の遺
伝子をノックアウトした場合、これまで知られていなかったウイルスのヒトへの感
染が生じる可能性ある。あるいはヒト遺伝子を導入することにより、ヒト由来ウイ
ルスのドナー動物への感染やヒトに指向性を有する新たな細胞指向性を持つ動物由
来ウイルスの出現をもたらす可能性もある。したがって、遺伝子改変によって引き
起こされる新たな感染特性を持ったウイルス等に着目した検査の実施が求められ
る。
(3) 急性感染症を引き起こす病原体が検出された場合、その動物をドナー動物としては
ならない。当該動物が由来する集団又はコロニーに対しては、当該病原体の潜伏期
間を越える期間の外界との隔離を実施し、当該動物の母集団における感染の有無を
監視する感染因子監視体制をとらなければならない。一方、日和見感染や潜伏感染
を起こす病原体の場合でも、ゲノム改変を行ったドナー動物由来の場合にはその特
性が変化している可能性があり、さらに移植後の免疫抑制剤の投与により難治性の
持続感染症を引き起こす可能性がある。したがって、検査で陽性となった場合には
使用するべきではない。どのような検体を用いて検査を行うかは、感染因子の特性
を考慮して複数の検体を対象として実施すること。場合によっては移植を行う異種
移植片に隣接する組織等を用いることが有用な場合もあるが、検査の結果が移植後
になる可能性もあり、その代替となる検体を使用することも考慮するべきである。
(4) 最初のスクリーニングと品質評価が完了してから、一定期間が経った場合(例え
ば、計画した異種移植片が使われなかった時又は同一動物から2番目の異種移植片
を得る時)、又は動物が外界との隔離後、異種移植片を採取するまでの間に外界と
の隔離を行っていない動物と接触した場合は、再度ドナー動物候補のスクリーニン
グが実施されなければならない。
(5) ドナー動物を輸送することによって、閉鎖コロニーで確保された無感染状態が損な
われる恐れがある。ドナー動物を微生物学的に隔離するために、輸送状況に細心の
注意を払い、輸送中の病原体への暴露を最小にとどめる対策を講じると共にその検
証を行っておくこと。ドナー動物が到着した後、長期間の外界との隔離(最低3週
間とする。適当な根拠がある場合には、短縮してもよい。)と厳密なスクリーニン
グを行うこと。異種移植片は、動物飼育施設で採取・調製され、移植に用いる形で
輸送することを推奨する。

4.5.2 異種移植片の無菌性の確保
調製されたすべての異種移植片は、基本的に無菌状態でなければならない。潜伏感染す
る微生物(ウイルス等)が同定されたドナー動物の使用は避けること。ただし、微生物が
気道や消化管など解剖学的に特定の場所で検出された場合であっても、異種移植片にその
微生物が存在しないことが十分に確認され、採取行為を通じて目的とする移植片の無菌性
やウイルス等の感染因子の検証が実施されていれば、その動物の使用を可とできる場合も
ありうる。

4.5.3 記録の閲覧及び保存
個々のドナー動物及びその集団又はコロニーの健康管理記録は、監査委員会が閲覧可能
でなければならない。個々のドナー動物の健康管理記録と、集団又はコロニーの健康管理
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