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参考資料3 厚生労働科学研究の成果に関する評価(令和4年度報告書) (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31012.html
出典情報 厚生科学審議会(第21回 2/3)《厚生労働省》
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令和4年度

移植医療基盤整備研究事業「成果に関する評価」
(54,432 千円)

1.研究事業の概要
移植医療は、患者にとって疾患の根治を目指す重要な治療法である一方で、任意・善
意の下でのドナーによって初めて成立する医療でもあり、その意思を最大限尊重する必
要がある。ドナーやレシピエントにかかる身体的・心理的・経済的負担を軽減すること
が移植医療における大きな課題であり、また、ドナーの安全性を確保しつつ、適切な提
供の推進を図ることが必要不可欠である。

2.研究事業の成果
臓器移植分野では、入院時重症患者対応メディエーターの有用性が明らかとなり、令
和4年度診療報酬改定で「重症患者等に対する支援に係る評価」が新設された。また脳
死判定目的の転院搬送の課題の抽出を受けて、今後「臓器提供手続きに係る質疑応答集
(移植医療対策推進室室長通知)の改正をする予定である。さらに臓器提供時における
虐待の疑いの除外に係る課題を受けて、令和4年7月 20 日に「臓器の移植に関する法
律」の運用に関する指針の改正が行われた。
造血幹細胞移植分野においては、ドナー安全情報の一元管理システム等を構築し、安全
面においてドナー年齢の引き下げに問題がないことが示された。また臍帯血バンク等を
対象としたアンケート結果をもとに、「移植に用いる臍帯血の品質確保のための規準に
関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)」の見直しが検討される予定である。

3.成果の評価
臓器移植分野については、平成 22 年の改正臓器移植法の施行により可能となった家族
承諾による臓器提供について、体制整備に必要な知見を収集し、現状で少ない臓器提供
を適正に増加させることが重要である。造血幹細胞移植については、若年層のドナー確
保、コーディネート期間の短縮、末梢血幹細胞移植の普及、臍帯血の安定的な確保など
の課題に取り組む必要がある。
臓器移植分野では、臓器提供のプロセスに関する網羅的な解説書の発刊、提供施設のみ
で臓器提供を完遂するためのマニュアルの作成等により、提供施設の基盤整備が推進さ
れた。造血幹細胞移植分野では、提供・採取に至りやすいドナーの調査、ドナー安全研
修会の教材作成、臍帯血バンクの実態調査等が行われ、得られた結果が関係機関に共有
されて、移植医療基盤の改善に役立てられてきた。引き続き、普及啓発活動により国民
の理解と協力を得ながら、臓器提供数の増加、造血幹細胞の適切な時期での提供に特に
重点を置いて移植基盤が整備されるべきである。また、レシピエント・ドナー双方の安
全性改善に直結しやすい課題や普及啓発活動に関する研究について効率的に研究を遂行
すべきである。

4.改善すべき点及び今後の課題
臓器移植分野では、臓器提供のプロセスにおける課題の抽出や解決、それによる提供施
設の基盤整備が重要である。都道府県等の単位での新たな普及啓発モデルを幅広く展開
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