【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書年次報告書2021(たたき台) (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html |
出典情報 | 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回 1/17)《厚生労働省》 |
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背 景:
我が国の「AMR 対策アクションプラン 2016–2020」において、ヒト、動物、農業、食品及び環境の
各分野において薬剤耐性菌及び抗菌薬使用の現状及び動向の把握は、現状の施策の評価及び今後の施
策を検討する上で重要な戦略の一つと位置づけている。また、国際的には、世界保健機関(WHO)が
グローバル薬剤耐性サーベイランスシステム(GLASS)を構築するなど、世界の耐性菌の動向を集約・
共有する試みが開始されているが、日本はこの GLASS にデータを提出し、協力している。また、国際
獣疫事務局(OIE)においては、統一された手法による動物における抗菌剤の使用量のモニタリングを
行っているが、我が国はこの取り組みに協力し、データを提出している。このように、我が国の現状及
び動向を把握し国内外に向けて発信することは、国際社会における我が国の位置を再確認するととも
に、国際的にも AMR に関する施策を推進する上で重要である。
方 法:
本報告書は、ヒト、動物、食品及び環境の有識者によって構成された薬剤耐性ワンヘルス動向調査検
討会において、動向調査や研究等における情報を検討したものである。ヒト・医療分野の主要な病原細
菌における薬剤耐性率は、厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)などから、動物由
来細菌における主な薬剤に対する耐性率と動物における抗菌薬の販売量に関しては、農林水産省の動
物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)から情報を得た。また、ヒトにおける抗菌薬の販売量・使
用状況は IQVIA ソリューションズジャパン株式会社、匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データ
ベース(NDB)及び感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)から、抗菌性飼料添加物の流通量
は独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)及び一般社団法人日本科学飼料協会から、
農薬として用いられている抗菌剤の国内出荷量は農林水産省から情報を得た。
既存の動向調査等では調べられていないが、公衆衛生の観点から重要と考えられる微生物の薬剤耐
性や、国民の AMR に対する認知度等に関しては、厚生労働科学研究班等の検討結果を利用した。
動物分野の獣医学生への意識調査については、8 大学への薬剤耐性に関する講義と併せて実施した
アンケート結果を利用した。
結 果:
近年、世界各国で、ヒト分野においては、腸内細菌科細菌、特に大腸菌と肺炎桿菌でカルバペネムへ
の耐性率の増加が問題となっているが、日本では、これらの耐性率は1%未満で推移している。一方、
日本では大腸菌における第 3 世代セファロスポリン系薬及びフルオロキノロン系薬への耐性率は増加
傾向にある。緑膿菌のカルバペネム耐性は 2014 年に判定基準が変更されているが、耐性率としては減
少傾向にあると考える。腸球菌属では、国際的にはバンコマイシン耐性の増加が問題となっている。日
本では Enterococcus faecium のバンコマイシン(VCM)耐性は 2020 年 1.4%と海外に比較して比較的
低い水準にあるものの、近年では増加傾向にあり、一部の地域で VCM 耐性 E. faecium による広域な
病院内アウトブレイクが認められた。
また、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の割合は 2011 年より減少傾向にあるものの、未だに
高い水準にある。食品およびヒト由来のサルモネラ属菌の各血清型において、各種薬剤に対する耐性
率のパターンに明瞭な類似性が認められたことから、食品およびヒト由来耐性株間の関連性が強く示
唆された。
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