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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書年次報告書2021(たたき台) (94 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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(6)抗菌薬適正使用についての研究
国内の抗菌薬適正使用に関わる研究について, 過去の報告と昨年度の本報告書以後に(2020 年後半~)
公表されたものを以下にまとめた. 診療請求情報(レセプトデータ)を用いた日本全国の外来を対象とした
研究のみを対象とし, 対象地域が限定されている研究や, 抗菌薬使用量だけが解析されている研究は除外し
た. レセプトデータは, 厚生労働省が構築した NDB2,3 , 国民健康保険のデータベース 4, 複数の健康保険組合
のレセプト情報を組み合わせて構築された製品化されたデータベース (JMDC 社 の JMDC データベース 1,57

、IQVIA 社のデータベース 8 や MDV 社の MDV analyzer11) などが利用されていた. なお, 記載中の角括弧

([ ]) で囲まれている数字は特に記載のない場合, 95%信頼区間を表す.
1. 抗菌薬適正使用に関する過去の報告
これまでに抗微生物薬適正使用の手引きで取り上げられている、急性気道感染症や急性下痢症への抗菌薬
適正使用に関する研究が報告されてきた 1-7。抗菌薬使用量は徐々に減少してきているが、なお、急性気道感
染症や急性下痢症への処方が多く適正使用支援の介入の余地があると示唆されていた。その中で 2018 年、3
歳未満の小児に対し、小児抗菌薬適正使用加算が導入され、さらに 2020 年の改定で対象年齢が 6 歳未満へ
引き上げられた。村木らが, IQVIA 社のデータベースを用いて 15 歳未満の児を対象に, 2018 年の本加算の効
果について検証を行ったが、加算を申請している施設ではしていない施設と比べ抗菌薬の処方割合がより低
かった 8。こうした結果が出ているが、加算年齢の拡大も行われており、研究対象期間や年齢の拡大、より詳
細な年齢別導入有無での抗菌薬適正使用への効果などの調査も今後の抗菌薬適正使用を進めるために検討が
のぞまれる。小児に関しては小児科診療所を対象にしたアクションプランの効果を調査した研究が新たに報
告されており、次項に記す 9。急性下痢症に関しては、これまでには、大久保らが小児 (18 歳未満) につい
て、 JMDC 社のデータベースを用い, 2012 年 4 月~2015 年 12 月にかけて抗菌薬の使用状況を示した 7。
4,493 名の急性下痢症に罹患した外来患者に関するレセプトが調査され, そのうち 29.6%が何らかの抗菌薬処
方を受け、抗菌薬種別ではホスホマイシンが最も多かった (20.3%)。成人についてはデータが不足し、検討
の必要性が示唆されていた。JMDC データにも基づく研究 10 と MDV analyzer を用いた研究 11 が新たに報告
されており、次項で示す.
2. 抗菌薬適正使用に関する新たな研究報告
[小児に関する研究]
大久保らは NDB を用いて、2013 年 4 月~2019 年 3 月における日本全国の小児科診療所での感染症診療へ
の抗菌薬処方を調査し、2016 年の AMR 対策アクションプランの効果をみるため時系列解析も行った 9。月
に 100 患者を超える 15 歳未満の小児感染症診療を行っていた 2278 の診療所が対象となった。研究対象期間
の 6 年で抗菌薬処方率は減少傾向であり、さらにアクションプラン導入後にさらなる減少があったことを明
らかにした(アクションプラン導入前:-16.0Dots/1000 患者[-16.4~-15.6]、アクションプラン導入後:239.3Dots/1000 患者[-240.0~-238.6])。アクションプランに加え、新たに 3 歳未満の小児を主な対象とし
て、2016 年には小児かかりつけ診療加算、2018 年には小児抗菌薬適正使用加算が導入され、3 歳未満に限ら
ず小児全体へも影響があったと考えられた。しかしながら、WHO の推奨する AWaRe 分類の Access に該当
する抗菌薬の選択が 2018 年においても 0~98.4%と診療所によってさまざまであり改善の余地があると考え
られた。

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