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参考資料4 厚生労働科学研究の成果に関する評価(令和5年度報告書) (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31012.html
出典情報 厚生科学審議会(第21回 2/3)《厚生労働省》
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令和5年度

移植医療基盤整備研究事業「成果に関する評価」
(54,432 千円)

1.研究事業の概要
移植医療は、患者にとって疾患の根治を目指す重要な治療法である一方で、任意・善意
の下でのドナーによって初めて成立する医療でもあり、その意思を最大限尊重する必要が
ある。ドナーやレシピエントにかかる身体的・心理的・経済的負担を軽減することが移植
医療における大きな課題であり、また、ドナーの安全性を確保しつつ、適切な提供の推進
を図ることが必要不可欠である。

2.研究事業の成果
臓器移植分野では、脳死が疑われる患者の家族に臓器提供の情報提供がされていない事
例が多数存在することが明らかにされた。これにより、「家族に確実に臓器提供に関する
情報提供を行うための体制の構築」が必要とされた。この調査は令和6年度の診療報酬改
定の際の基礎資料として活用された。また、海外渡航移植患者が一定数国内に存在するこ
とが明らかとなり、国内の臓器移植医療をより一層推進する必要性が示された。
造血幹細胞移植分野においては、臍帯血バンク等を対象としたアンケート結果をもとに、
「移植に用いる臍帯血の品質確保のための規準に関する省令の運用に関する指針(ガイド
ライン)」の見直しが行われる予定である。また末梢血幹細胞移植において、ドナー負担
軽減につながる資材の作成や安全情報検索等のシステムが構築されたことで、非血縁者間
末梢血幹細胞移植が一層普及した。

3.成果の評価
臓器移植分野については、平成 22 年の改正臓器移植法の施行により可能となった家族承
諾による臓器提供について、体制整備に必要な知見を収集し、現状で少ない臓器提供を適
正に増加させることが重要である。造血幹細胞移植については、若年層のドナー確保、コ
ーディネート期間の短縮、末梢血幹細胞移植の普及、臍帯血の安定的な確保などの課題に
取り組む必要がある。
臓器移植分野については、本人・家族の臓器提供の意思を適切に汲み取り、円滑に臓器
移植につなげることを目的に、医療現場の実態調査や臓器移植医療に係る負担軽減に資す
る体制の構築、造血幹細胞移植分野では、提供・採取に至りやすいドナーの調査、ドナー
安全研修会の教材作成、臍帯血バンクの実態調査等が行われ、得られた結果が関係機関に
共有されて、移植医療基盤の改善に役立てられた。引き続き、普及啓発活動により国民の
理解と協力を得ながら、臓器提供数の増加、造血幹細胞の適切な時期での提供に特に重点
を置いて移植基盤が整備されるべきである。また、レシピエント・ドナー双方の安全性改
善に直結しやすい課題や普及啓発活動に関する研究について効率的に遂行できた。

4.改善すべき点及び今後の課題
臓器移植分野では、臓器提供から移植までのプロセスにおける課題の抽出や解決、それ
による医療施設の基盤整備、加えてこれまでの研究成果を評価した上で、より一層移植医
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