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「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究Ⅰ(制度の変遷と将来構想の検討)検討委員会報告書」 (10 ページ)

公開元URL https://www.kenporen.com/press/
出典情報 医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究Ⅰ(5/17)《健康保険組合連合会》
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2040年に想定される医療・医療保険
制度を取り巻く社会情勢の変化
少子高齢化・人口減少を始め、わが国はかつて経験したことのない変化の時代にある。
加えて、近年のコロナ禍、そしてロシアのウクライナ侵攻は、急速にこれまでの制度が前提
としてきた社会を変えた。他方、21世紀に入って急速に発展したデジタル技術も、我々の
生活と住む社会を変えつつある。
医療保険制度も、当然こうした社会情勢の変化の影響を受ける。医療保険制度の将来
構想を描く前提として、まずは2040年までに想定される社会情勢の変化について述べて
おくこととしたい。

進展する少子高齢化と深刻化する医療費の増大
2040年、総人口が減少するなか、団塊ジュニア世代が高齢化し、65歳以上人口はピークに
到達すると予測されている。その時代になると、高齢者のみ(単身を含む)世帯が増加すること
に加えて、死亡数もピークに到来する、いわゆる「多死社会」を迎えることとなる。
より医療・介護ニーズの高い85歳以上人口の急増(約4割増)が見込まれており、医療ニーズ
も大きく変化することが予想される。それゆえ、それらの支え手として、外国人労働者を含め、
わが国の医療・介護分野においては、より一層多くの人材を確保する必要性がある。
他方、医療は年々高度化し、革新的かつ高額な薬剤や技術が登場することが見込まれる。
このように急速に進展する高齢化と医療の高度化によって、医療費は今後ますます増大する
ことが予想され、減少する現役世代では医療保険制度を支え切れず、深刻な財政危機に陥る
可能性が高い。
健保連が行った推計では、国民の生活基盤を形成する経済成長は、2018年の政府推計より
鈍化し、そのために国民医療費の対GDPに占める割合を押し上げる見通しとなっている(※)。

(※)

(ベースラインケース)
・ 2040年度のGDP→2018年政府推計=790.6兆円、健保連推計=722.3兆円(▲68.3兆円)

・ 国民医療費対GDP→2018年政府推計=9.9%、健保連推計=10.1%(+0.2ポイント)
(ベースラインケース、現状
投影ケース)

・ さらに、今後の経済変動、新興感染症の拡大など不測の事態の影響を受ける可能性も十分にある。
出典:「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究Ⅱ

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慶応義塾大学 土居丈朗教授の推計」