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資料1_具体的研究事項と横断的研究事項について (23 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33877.html
出典情報 今後のがん研究のあり方に関する有識者会議(第12回 6/28)《厚生労働省》
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(5)ライフステージやがんの特性に着目した重点研究領域

①小児がん

これまでの成果の例
AMED評価

• 中央診断や試料保存システム等の整備が進み、正確な診断のもとに疾患ごとに晩期合併症に配慮した新たな標準治療確立のための臨床
試験が実施され成果をあげた。
後半5年間での成果の例

• 小児胎児性固形がんに対する標準的治療法開発(広島大学 檜山 英三)
全国多施設共同臨床試験JPLT-2試験に登録され治療された症例の治療開始する前の検体163例を用いて、統合的にゲノム・エピゲノ
ム・プロファイリングを行った。その結果、肝芽腫には性質が異なるいくつかのサブグループが存在し、小児に多く見られる典型的な
肝芽腫では、腸管上皮の幹細胞で重要な転写因子であるASCL2の遺伝子発現が亢進していることが明らかとなった。さらに、肝芽腫症
例の予後予測に有用である新しいメチル化マーカーDLX6-AS1を見出した。診断や予後予測の重要な指標となることが期待される。
• 分子プロファイリングを基盤とした小児期からAYA世代に発症する難治がんの新規治療法の開発(京都大学 滝田 順子)
本研究では、神経芽腫のがん細胞のDNAメチル化解析により、既存の治療の効果が期待しづらい超予後不良群を抽出できる可能性を示
した。さらにこの超予後不良群の特徴をRNAシークエンスとの統合解析により調べ、がん細胞に特徴的な栄養の利用様式により生存と
増殖を有利にする方法である「がん代謝」の性質に着目することで、これを逆用する新規治療の可能性を細胞実験と動物実験により示
した。
• 遺伝子変異に応じたがんシグナルの同定を基盤とした小児脳腫瘍の新規治療法に関する研究開発(国立精神・神経医療研究センター
川内 大輔)
小児悪性脳腫瘍である髄芽腫において、転写抑制因子をコードするBCOR遺伝子の変異が、細胞増殖因子であるIGF2の発現亢進を介し
て悪性化に関わることを発見した。BCOR遺伝子に変異がある他のヒト脳腫瘍や一部の肉腫においてもIGF2の高発現が認められたこと
から、BCOR遺伝子変異が有用な分子診断バイオマーカーとしてがんプレシジョン医療の発展に繋がることが期待される。また、国際
共同研究による世界最大規模(>1000例)の臨床検体を用いて、小児脳腫瘍である上衣腫において新たな融合遺伝子を発見し、その腫
瘍原性を明らかにすると共に、新規治療標的となる主要下流因子を同定した。本成果は小児悪性脳腫瘍のWHO分子分類名が変更となる
国際的な影響をもたらしており、重要な医学的貢献をも果たしている。

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