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資料1_具体的研究事項と横断的研究事項について (29 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33877.html
出典情報 今後のがん研究のあり方に関する有識者会議(第12回 6/28)《厚生労働省》
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(9)各柱にまたがる「横断的事項」について
これまでの成果の例

①シーズ探索

AMED評価

• 従来の研究アプローチに加え、ゲノム情報やオミクス解析技術を駆使することにより、生体内におけるがんの時間的空間的変化がゲノ
ムやトランスクリプトームレベルで解析できるなどの進展がみられた。今後、更に革新的なシーズ探索のアプローチを発展させること
で、斬新な次世代医療の実現につながる。
後半5年間での成果の例

• マイナーイントロンのスプライシング異常による発癌機構と治療応用に関する研究
(神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター 井上 大地)
全イントロンのわずか0.3%しか存在しない「マイナーイントロン」と呼ばれる配列が遺伝情報の伝達の際に適切に除去(スプライシン
グ)できないことで発がんに至るという新しいメカニズムを初めて解明した。マイナーイントロンのスプライシング異常による発がん
機構研究の発展により、スプライシング異常が引き起こす病気の理解や新しい治療標的の開発につながることが期待される。
• 治療抵抗性難治がんにおけるヒストン脱メチル化酵素LSD1の機能性ドメインを標的とした新規抗がん剤の開発
(名古屋大学 加藤 真一郎)
悪性黒色腫における治療耐性化細胞はLSD1依存的に生存・増殖することを解明し、LSD1の「TOWER」ドメインを介する転写因子
が、細胞周期が停止した希少なDTPs(エピゲノムレベルの可塑性を利用して抗がん剤治療等の不利な環境に適応する細胞)が治療耐性
化する際に必要であることを新たに明らかにしてきた。今後、DTPsによる治療抵抗性を克服された治療法開発に大きく前進することが
期待され、正常細胞の機能に影響しない、より副作用が軽減された抗がん剤開発につながる。
• ロングリード技術を駆使した非小細胞肺癌におけるがんゲノム多様性・進化に関する研究 (東京大学 鈴木 絢子)
肺がん細胞のゲノム中に存在する異常をショートリードとロングリードの二つのシークエンス技術を組み合わせた新しい手法で、染色
体レベルでのゲノム異常の蓄積を解析しました。その結果、相同染色体のうち、一方の染色体に特異的に変異が蓄積している領域を見
いだし、更に、ゲノム変異を有する染色体背景を多階層にわたって明らかにした。今後、個々の患者さんのがん細胞の発生から進展様
式までを追うことができるようになり、より個人の病態に焦点を当てた治療法の選択や新しい治療の開発が期待される。
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