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資料1-2-17診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (29 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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317 三頭酵素欠損症
○ 概要
1.概要
ミトコンドリアの β-酸化系のうち、ミトコンドリア内膜に結合した長鎖脂肪酸の β酸化回路を形成する2酵
素の1つで、長鎖脂肪酸 β酸化回路の第2の酵素エノイル CoA ヒドラターゼ(enoyl-CoA hydratase:LCEH)、
第3の酵素 3-ヒドロキシアシル CoA 脱水素酵素(3-hydroxyacyl-CoA dehydrogenase:LCHAD)、第4の酵
素 3-ケトアシル CoA チオラーゼ(3-ketoacyl-CoA thiolase:LCKT)の3つの機能を持った三頭酵素の欠損
症で、常染色体劣性遺伝の疾患である。発症時期で潜性遺伝(劣性遺伝)性疾患である。欧米では、
LCHAD 活性が特異的に欠損する Isolated LCHAD 欠損症も多いが、わが国では報告はない。両者は臨床
的には軽微な差があるが生化学的には区別できない。発症時期より、新生児期発症型、乳幼児期発症型、
幼児期以降に発症し骨格筋症状を主体とする遅発型に分類される。新生児マススクリーニングで診断され
た、又は家族検索で発見された無症状の症例はどの病型かに分類されるまで、発症前型と暫定的に分類
する。
2.原因
三頭酵素の2つの遺伝子 HADA、HADBHADHA、HADHB のどちらかの変異による。
3.症状
新生児期に痙攣けいれん、意識障害、呼吸障害、心不全などで急性発症し、致死率が高い新生児期発
症型から、乳幼児期に Reye 様症候群で発症する乳幼児期発症型、幼児期から成人期に間歇的な横紋筋
融解症、筋痛、筋力低下でなどの筋症状を主体として発症する骨格筋型遅発型まで、臨床像は幅広い。本
症では長期経過のなかで末梢神経障害(80%)、網膜障害(5~13%)を来す症例が、副甲状腺機能低下
症をきたす症例がある。また、急性発作の後遺症などで発達遅滞を認める場合もある。
本症はタンデムマスを用いた新生児マススクリーニングの対象疾患であり、症状が出る前(発症前)に、
新生児マススクリーニングで発見されることがある。
なお、胎児が本疾病に罹患していると、ヘテロ保因者である母親が妊娠中に HELLP 症候群※をきたすこ
とがある。
※溶血・肝酵素上昇・血小板減少を三徴とし、多臓器不全を呈しうる重篤な妊産婦合併症

4.治療法
根本的治療法はなく、末梢神経障害、網膜障害は各種対症療法で防げない。食事間隔の指導、中鎖脂
肪酸トリグリセリドの使用による急性発作予防が主である。
本疾患の治療原則は食事指導・生活指導により異化亢進のエピソードを回避すること、骨格筋、心筋へ
の過度の負荷を避けることにある。食事間隔をあけないよう指導する。また、長鎖脂肪酸を制限し、MCT ミ
ルク/オイルを使用する。発熱や嘔吐・下痢などの sick day 時は代謝不全をきたすリスクが高いため、原

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