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資料1-2-17診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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319 セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症
○ 概要
1.概要
セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症は3種の芳香族アミノ酸水酸化酵素の補酵素テトラヒドロビオプテリ
ン(BH4)の生合成に関わる SR をコードする遺伝子の異常により、BH4 の欠乏を来す遺伝性の先天代謝異
常症で常染色体劣性の遺伝形式を取る。肝臓では SR 以外の還元酵素の働きで BH4 が合成されるため、
高フェニルアラニン血症は来さないが、脳では SR 以外の還元酵素の働きが弱く必要な BH4 は合成されな
いため、カテコールアミン及びセロトニンの合成障害が引き起こされる。その結果、BH4 欠損症と同様の中
枢神経症状を発症するが、高フェニルアラニン血症を来さないため新生児マス・スクリーニングでは発見で
きず、診断と治療が遅れることが問題となる。
患者数は、本邦では 2014 年に第1例が報告されているに過ぎず、世界でも 50 例程度の極めてまれな疾
患であるが、本邦においても、症例が報告されつつある。
2.原因
発病の機構は、培養皮膚線維芽細胞の分析により、SR 活性の低下が明らかにされ、2p14-p12 に位置
する SPR 遺伝子異常が病因として解明された。
診断基準 SR 活性の低下は髄液中のホモバニリン酸(HVA)と 5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)のを
低下を認めれば、髄液中させる。また、プテリジン分析を行い、ビオプテリンとセピアプテリンの上昇を認め
れば疑診例とする。この場合、髄液中ビオプテリンでは、髄液中のビオプテリン値は上昇しているが活性型
の BH4 は低下しているのが特徴的である。確定診断には SPR 遺伝子解析で両方のアレルに変異を認め、
培養皮膚線維芽細胞で SR 活性の低下を明らかにする。
3.症状
乳児期からの運動発達遅滞と言語発達遅滞を含む認知機能発達遅滞を示し、日内変動を伴う運動障害
や早期からの眼球回転発作を示し、初期に低緊張を伴うジストニア、パーキンソン様の振戦が認められる。
乳児期には躯幹の筋緊張低下を示し、乳児期後半から幼児期には舞踏運動や球麻痺症状を認めることも
ある。睡眠により一部の運動障害の改善が見られ、眼球回転発作の消失を見ることもある。
4.治療法
効果的な治療法として、神経伝達物質の前駆物質である L-ドーパ(L-DOPA)と 5-ヒドロキシトリプトファ
ン(5-HTP)補充療法が必要で、運動症状には脱炭酸酵素阻害剤(カルビドーパ)を含む L-ドーパ製剤が著
効を呈する。5-HTP は乳幼児期の治療としては必須であるが、国内では薬剤として入手できないため、成
人期には L-DOPA 単独での治療が行われている。L-DOPA の内服を中止すると数日以内に症状が再発す
るため、長期の療養は、生涯にわたって注意深い治療と経過観察が必要である。
5.予後
早期に発見し治療を行えば予後は良好と考えられるが、実際には治療の時期により予後は様々である。
治療によく反応するため治療を開始すれば長期的予後は著明に改善すると考えられるが、治療を中止する

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