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資料1-2-17診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (57 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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326 大理石骨病
○ 概要
1.概要
大理石骨病は、破骨細胞の機能不全による骨吸収障害により、びまん性の骨硬化を呈する症候群であ
る。破骨細胞機能不全をもたらす原因は多相であるため、遺伝的異質性の高い疾患であり、症状も早期に
発症する重症の新生児型/乳児型、中等度の中間型、軽症の遅発型まで多様である。未熟骨(一次骨梁)
の成熟骨(緻密骨)への置換が障害される結果、未熟骨で覆い尽くされた骨は硬化しているにもかかわら
ず脆い。また、過剰な未熟骨は骨髄腔の狭小化をもたらし、骨髄機能不全(貧血、易感染性、出血傾向、肝
脾腫など)を引き起こす。頭蓋底の骨肥厚による脳神経症状(難聴、視力障害、顔面神経麻痺)を呈するこ
ともある。
2.原因
破 骨 細 胞 の 形 成 や 機 能 に 関 連 す る 複 数 の 遺 伝 子 異 常 ( TCIRG1 、 CLCN7 、 OSTM1 、 TNFSF11 、

TNFRSF11 (RANKL)、TNFRSF11A (RANK)、PLEKHM1、CA2、LRP5、IKBKG (NEMO、)、FERMT3 (KIND3、)、
RASGRP2 (CalDAG-GEF1)、SNX10)が報告されている。新生児型/乳児型及び中間型は常染色体劣性遺
伝、遅発型は常染色体優性遺伝である。
3.症状
新生児型/乳児型は早期より重度の骨髄機能不全、脳神経症状、水頭症、低カルシウム血症、成長障
害などを呈する。汎血球減少となるため感染や出血を生じやすく、幼児期までの死亡率は高い。中間型は
小児期に発症して骨折、骨髄炎、難聴、低身長、歯牙の異常など種々の症状を呈するが、骨髄機能不全は
重篤ではない。遅発型では骨髄機能不全は認められず、病的骨折、下顎の骨髄炎、顔面神経麻痺などで
診断されることが多い。このタイプでは他の理由で施行されたレントゲン検査によって偶然発見されることも
ある。X 線所見としては、頭蓋底や眼窩縁の骨硬化像、長管骨骨幹端の undermodeling(Erlenmeyer フラス
コ状変形)、椎体終板の硬化像(サンドイッチ椎体、ラガージャージ椎体)などを共通とする。
4.治療法
重症の新生児/乳児型では骨髄移植、造血幹細胞移植などが試みられているが、確立されたものはな
い。種々の症状に応じての対症療法が中心となるが、骨折に関しては著しい骨硬化により手術による固定
材の刺入が極めて困難であり、また骨癒合も遷延化するため難治性となることが多い。特に成人期以降の
骨折治療は極めて難渋する。骨髄炎は遷延化することが多く、長期にわたる薬物治療を要する。進行性の
難聴に対しては補聴器が必要となる。
5.予後
新生児/乳児型では重度の貧血、出血、肺炎、敗血症などにより乳幼児期に死亡するものがある。中間
型の長期予後に関しては不明な点が多い。遅発型の生命予後は良い。成人期以降では骨折の遷延治癒
や偽関節、骨髄炎、進行性の難聴などが日常生活における問題となり、長期にわたる治療が必要となるこ
とがある。

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