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資料1-2-17診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (49 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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害等が認められ、長期にわたって継続する。エカルディ・グティエール症候群では、神経学的異常、肝脾腫、
肝逸脱酵素の上昇、血小板減少といった先天感染症(TORCH 症候群)類似の症状の他、易刺激性、間欠
的な無菌性発熱、てんかんや発達退行を中心とした進行性重症脳症の臨床像を呈する。血小板減少、肝
脾腫、肝逸脱酵素上昇、間欠的発熱などから不明熱として精査を受けることも多く、手指・足趾・耳などの
凍瘡様皮膚病変や全身性エリテマトーデスに類似した自己免疫疾患の合併も認められる。いずれの疾患も
生涯にわたり炎症が持続するため、高齢になるほど臓器障害が進行して重症となる。A20 ハプロ不全症は、
新生児期から 20 歳頃までの若年期に発症する。重症度は症例ごとに異なるが、周期性発熱あるいは遷延
性の発熱、反復性口腔内アフタ、皮疹、関節痛に加え、外陰部潰瘍、消化管潰瘍、ぶどう膜炎といったベー
チェット病様の症状を呈する。生涯にわたり炎症が持続し、臓器障害が進行する。また、橋本病や全身性エ
リテマトーデス、自己免疫性肝炎等の自己免疫疾患の併発もみられる。
4.治療法
いずれの疾患に対しても現時点で確立された治療法はないが、IL-1βや IL-18 の過剰産生が推定されて
いる NLRC4異常症では抗 IL-1製剤の有効性が報告されている。ADA2欠損症に対しては、抗 TNF 療法の
有効性を示す報告が増えている。また、骨髄移植による根治が期待され、実際に有効であった症例も報告
されている。エカルディ・グティエール症候群に対しては有効な治療法の報告はない。JAK 阻害薬であるバ
リシチニブによる症状と検査値の改善、逆転写酵素阻害薬による血液・髄液検査所見の改善が報告されて
いる。A20 ハプロ不全症は副腎皮質ステロイド全身投与、コルヒチン、抗 TNF 製剤などの使用が報告され
ているが、有効性は確立していない。また、治療抵抗性腸管炎症に対して腸管切除が、難治性自己免疫疾
患に対しては骨髄移植がなされている。一部の症例で、抗 IL-1 製剤、抗 IL-6 製剤、JAK 阻害薬、治療抵
抗性腸管炎症に対する外科的切除術、難治性自己免疫疾患に対する造血細胞移植の有効性が報告され
ている。
5.予後
NLRC4異常症では、関節炎や炎症性腸炎に加え、繰り返すマクロファージ活性化症候群を合併し生命
の危険を伴う。ADA2欠損症では、血管炎症による脳梗塞や神経障害、視力障害、臓器梗塞による腎症な
どの病変を合併し予後不良である。エカルディ・グティエール症候群では、早発性脳症、てんかん、重症凍
瘡様皮疹のため予後不良である。いずれの疾患も慢性の炎症が持続し、進行性の臓器障害を併発するた
め高齢になるほど症状が悪化する。A20 ハプロ不全症は生涯にわたる全身炎症のために患者の生活の質
は阻害される。治療抵抗例では眼症状による視力障害、自己免疫疾患による多臓器障害、が進行する。ま
た、消化管出血による致死例などが報告されている。ただし、いずれの疾患も責任遺伝子の報告や疾患概
念の確立から間がなく、長期的な予後には不明な部分が存在する。
○ 要件の判定に必要な事項
1. 患者数
100 人未満(すべて成人症例が存在する。)
2. 発病の機構
不明
3. 効果的な治療方法
未確立(いずれも対症療法のみ)

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