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資料1-2-17診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (61 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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329 無虹彩症
○ 概要
1.概要
無虹彩症は虹彩が完全または不完全に欠損していることで見出される遺伝性疾病で、常染色体優性遺
伝形式を示す。責任遺伝子は PAX6 遺伝子である。本疾患は出生時から両眼性の強い視力不良を認め、
大半が視覚障害児となる。本疾病の発症頻度は 10 万人に1人とされ、まれな疾患である。性差はない。患
者の8割程度が家族性に発症しており、残る2割は散発性に発症する。
2.原因
責任遺伝子は PAX6 遺伝子であることが既に解明されており、この遺伝子の片アリルの機能喪失によっ
て機能遺伝子量が半減(ハプロ不全)することで生じるとされ、両アリルが異常の場合には胎生致死となる。

PAX6 遺伝子の機能遺伝子量の半減によってどのようにして発症するのかは不明である。
3.症状
幼少時より網膜の黄斑低形成のために視力は不良であり、また虹彩がほとんどないために羞明を訴え
る。また、眼振を併発することが多く、斜視も高率に併発する。半数以上の症例で白内障、水晶体脱臼を併
発する。角膜は幼少時には正常であるが、成長につれ角膜輪部機能不全となり、最終的には結膜組織が
角膜に侵入して(角膜パンヌス)視力をより低下させる。また、重篤な例では出生時に緑内障が併発してお
り、さらに成人以降に緑内障の合併が高率に見られ、適切な治療がなされないと失明を起こしうる。
4.治療法
羞明に対して遮光眼鏡あるいは虹彩付きコンタクトレンズの装用がなされる。また乳児期の緑内障に対
しては緑内障手術を、成人期以降の緑内障に対しては抗緑内障薬の点眼や緑内障手術を行う。白内障や
水晶体脱臼に対しては適切な時期に手術治療を行う。角膜パンヌスにより視力がより低下した場合には角
膜移植術(表層角膜切除ないし表層角膜移植術および輪部移植術の併設)の適応となる。斜視に対しては
整容的に意義があれば斜視の矯正手術を行う。黄斑低形成に対しての確立した治療法はない。
5.予後
本疾患は幼少時より両眼性の中等度から高度の視力低下を認め、大半が視覚障害児となる。眼振や斜
視、そして、黄斑低形成は停止性で進行はみられないが、角膜輪部機能不全や緑内障については進行性
であり、適切な治療がなされない場合には失明の転帰をたどることもある。適切な時期に角膜手術を行い、
また緑内障については生涯にわたって治療を継続する必要がある。

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