よむ、つかう、まなぶ。
(1)参考資料 (60 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20230529/zaiseia20230529.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 歴史的転機における財政(5/29)《財務省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
経済成⾧につながる財政のあり方
資料Ⅱ-4-4
○ 経済低迷の原因は財政出動が不十分だったからだという指摘も聞かれるが、これまでも当審議会から指摘しているとおり、成⾧力を
高めていくためには、財政の規模ありきではなく、歳出の中身を見直し、成果を出せるものとしていくことが必要。
令和五年度予算の編成等に関する建議(令和4年11月 財政制度等審議会) (抜粋)
これまでの
拡張的な
財政運営
↓
持続的な
成⾧には
つながって
いない
規模ありき
ではなく、
成果志向の
支出を徹底
する必要
日本経済の⾧期低迷の原因は、財政出動が不十分だったからだという指摘も聞かれる。しかし、直近30年間のプライマリーバランス
対GDP比で見ると、日本は単純平均で対GDP比▲4.6%と、日本よりも成⾧率が高かった欧米主要国と比べて最悪の水準である。
先ほど述べたとおり名目GDPで日本に並びかけているドイツは、最近では新型コロナ対策やエネルギー価格高騰対策等によって財政状
況が悪化してきているものの、それまでは健全な財政状況を維持し続けていた。このように、財政の規模と、経済の成⾧力とは、単純に
結びつけられるものではない。
欧米諸国でもリーマンショックやコロナ禍のような危機時には赤字幅を拡大させているが、その他の時期では財政状況は改善している。こ
れに対して日本では、この30年間、一貫して赤字が継続していることが特徴的である。この期間の日本財政の悪化は、少子高齢化
に伴う社会保障関係費の増加が主因であるが、経済対策や減税等を重ねてきたことも影響している。
日本の財政支出対GDP比はOECD諸国の平均を大きく上回るペースで増加してきており、結果として財政赤字が継続し、1990年代
初頭は200兆円台であった債務残高は1,000兆円を超えるに至っている。それにも関わらず、名目GDPはほぼ横ばいのままである。経
済低迷と財政悪化が同時に進行していたということにほかならない。名目政府支出の乗数効果も、趨勢(すうせい)的に低下してきて
いる。少なくとも、この間の拡張的な財政運営は、持続的な成⾧にはつながっていない。
こうした経緯から見ても、単に財政支出を拡大することで経済成⾧を図ろうとしても、結果は望み難い。限られた財政資源を最適な形
で配分するため、政策の優先順位付けとスクラップ・アンド・ビルドを通じて、真に効果的な施策への絞込みを行うなど、メリハリのつい
た予算を作成し、成果を挙げられる支出に重点化していく必要がある。
「ワイズ・スペンディング」とは、財政支出の中身を精査して、より付加価値を生み出すような支出に重点化していくことであり、「アンワイズ」
な支出を特定して見直すこととセットでなければならないことも、改めて認識する必要がある。一方的に、特定分野の支出を「ワイズ」だと
する議論は、単なる歳出拡大論と変わらない。このように、「ワイズ・スペンディング」という言葉が、単に財政支出の規模を膨らませるため
の方便として使われかねないことには、留意が必要である。
大事なことは、歳出の中身を見直し、成果を出せるものとしていくことである。「規模ありき」ではなく、「アウトカム・オリエンテッド・スペ
ンディング(成果志向の支出)」を徹底し、成果を検証していくべきである。
資料Ⅱ-4-4
○ 経済低迷の原因は財政出動が不十分だったからだという指摘も聞かれるが、これまでも当審議会から指摘しているとおり、成⾧力を
高めていくためには、財政の規模ありきではなく、歳出の中身を見直し、成果を出せるものとしていくことが必要。
令和五年度予算の編成等に関する建議(令和4年11月 財政制度等審議会) (抜粋)
これまでの
拡張的な
財政運営
↓
持続的な
成⾧には
つながって
いない
規模ありき
ではなく、
成果志向の
支出を徹底
する必要
日本経済の⾧期低迷の原因は、財政出動が不十分だったからだという指摘も聞かれる。しかし、直近30年間のプライマリーバランス
対GDP比で見ると、日本は単純平均で対GDP比▲4.6%と、日本よりも成⾧率が高かった欧米主要国と比べて最悪の水準である。
先ほど述べたとおり名目GDPで日本に並びかけているドイツは、最近では新型コロナ対策やエネルギー価格高騰対策等によって財政状
況が悪化してきているものの、それまでは健全な財政状況を維持し続けていた。このように、財政の規模と、経済の成⾧力とは、単純に
結びつけられるものではない。
欧米諸国でもリーマンショックやコロナ禍のような危機時には赤字幅を拡大させているが、その他の時期では財政状況は改善している。こ
れに対して日本では、この30年間、一貫して赤字が継続していることが特徴的である。この期間の日本財政の悪化は、少子高齢化
に伴う社会保障関係費の増加が主因であるが、経済対策や減税等を重ねてきたことも影響している。
日本の財政支出対GDP比はOECD諸国の平均を大きく上回るペースで増加してきており、結果として財政赤字が継続し、1990年代
初頭は200兆円台であった債務残高は1,000兆円を超えるに至っている。それにも関わらず、名目GDPはほぼ横ばいのままである。経
済低迷と財政悪化が同時に進行していたということにほかならない。名目政府支出の乗数効果も、趨勢(すうせい)的に低下してきて
いる。少なくとも、この間の拡張的な財政運営は、持続的な成⾧にはつながっていない。
こうした経緯から見ても、単に財政支出を拡大することで経済成⾧を図ろうとしても、結果は望み難い。限られた財政資源を最適な形
で配分するため、政策の優先順位付けとスクラップ・アンド・ビルドを通じて、真に効果的な施策への絞込みを行うなど、メリハリのつい
た予算を作成し、成果を挙げられる支出に重点化していく必要がある。
「ワイズ・スペンディング」とは、財政支出の中身を精査して、より付加価値を生み出すような支出に重点化していくことであり、「アンワイズ」
な支出を特定して見直すこととセットでなければならないことも、改めて認識する必要がある。一方的に、特定分野の支出を「ワイズ」だと
する議論は、単なる歳出拡大論と変わらない。このように、「ワイズ・スペンディング」という言葉が、単に財政支出の規模を膨らませるため
の方便として使われかねないことには、留意が必要である。
大事なことは、歳出の中身を見直し、成果を出せるものとしていくことである。「規模ありき」ではなく、「アウトカム・オリエンテッド・スペ
ンディング(成果志向の支出)」を徹底し、成果を検証していくべきである。