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経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~(令和6年6月21日閣議決定) (5 ページ)

公開元URL https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/decision0621.html
出典情報 経済財政運営と改革の基本方針2024(6/21)《内閣府》
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第1章 成長型の新たな経済ステージへの移行
1.デフレ完全脱却の実現に向けて
我が国経済は、現在、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の
歴史的チャンスを迎えている。本年の春季労使交渉では、1991年以来33年ぶりの高水準の
賃上げが実現し、足元の企業の設備投資は史上最高の水準にある。こうした前向きな動き
を中小企業・地方経済等でも実現し、二度とデフレに戻らせることなく、
「コストカット」
が続いてきた日本経済を成長型の新たなステージへと移行させていくことが、経済財政運
営における最重要課題となっている。
岸田内閣は、これまで、「新しい資本主義」を掲げ、「成長と分配の好循環」及び「賃
金と物価の好循環」の実現に向け、日本銀行と連携し、適切なマクロ経済運営を行うとと
もに、官民連携による賃上げや社会課題の解決を成長につなげる投資の促進に向けた取組
などを進めてきた。こうした「新しい資本主義」の考え方は、新たな経済ステージへの移
行に当たっての基盤となるものである。これらにより、30年間上がらなかった賃金や物価
が動き出し、企業の成長期待や投資の見通しも高まっている。今は、日本経済への「期待」
を現実のものとしていくときである。
現状、為替が円安基調で推移しており、また、物価上昇が賃金上昇を上回る中で、消費
は力強さを欠いている。海外経済の下振れによるリスク等も残っているが、今後は、景気
の緩やかな回復が続く中で、賃金上昇が物価上昇を上回っていくことが期待される。
新たなステージへの移行のカギとなるのは、賃上げを起点とした所得と生産性の向上で
ある。まずは、春季労使交渉における力強い賃上げの流れを中小企業・地方経済等春季労
使交渉以外の分野でも実現し、物価上昇を上回る賃金上昇を達成し、定着させる。安定的
な物価上昇の下で、賃上げに支えられた消費の増加及び投資の拡大が、企業収益を押し上
げ、その成果が家計に還元され、次の消費の増加につながる。企業はその収益を原資とし
て成長分野に更に投資を行うことによって、企業の生産性と稼ぐ力が強化される。成長分
野への円滑な労働移動も可能となり、新たな成長を生み出す好循環が実現する。
あわせて、社会課題の解決と持続的な経済成長の実現に向け、官民が連携して投資を行
う。グリーン、デジタル、科学技術・イノベーション、フロンティアの開拓、経済・エネ
ルギー安全保障等の分野において、長期的視点に立ち、戦略的な投資を速やかに実行して
いく。こうして人材や資本等の資源を成長分野に集中投入することによって、経済全体の
生産性を高め、日本経済を「成長型の新たな経済ステージ」へと移行させていく。
本年の春季労使交渉では、労務費転嫁のための指針が周知されたこと等もあり、労使交
渉の結果、力強い賃上げの流れが生み出された。これに加え、本年6月から実施している
定額減税等によって、可処分所得を下支えし、物価上昇を上回る所得の増加を確実に実現
する。そして、この流れを来年以降も持続させるため、あらゆる政策を総動員して賃上げ
を後押しし、国民一人一人の生活実感を高めていく。このため、重層的な取引構造となっ
ている業種を含め、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁が行われるよう、官民双方で
取組を更に強化するとともに、企業の稼ぐ力を強化することによって、来年以降、物価上
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