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資料3 ①看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案 (41 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00003.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第3回 6/20)《文部科学省》 |
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評価の一つとして、「Ⅳパフォーマンス評価, ポートフォリオ」を挙げた。看護学教育モデル・コア・カリキ
ュラム改訂案の第3章第2節④の「Miller のピラミッドの各段階、対応する資質・能力、直接・間接・量
的・質的評価の例」で示す。また、直接評価を間接評価によって代替することは困難であり、「ダニング=
クルーガー効果」により能力が低い者は能力を過大評価し、高い者は控えめに評価する傾向がある 6)と
いう考え方から、共通認識化された評価方法として臨地実習での観察評価、OSCE (Objective
Structured Clinical Examination)、CBT (Computer-Based Testing)の音声動画あり、
CBT の音声動画なし、Scenario based simulation などもあわせて検討し、看護学教育モデル・コ
ア・カリキュラム改訂案では第3章第2節④に示した。
【引用文献】
1)
「教学マネジメント指針」用語解説。「教学マネジメント指針」(令和 2 年 1 月 22 日 大学分科会)
https://www.mext.go.jp/content/20200206-mxt_daigakuc03-000004749_005.pdf
2)
松下佳代(2019):学習成果とその可視化.中央教育審議会大学分科会 教学マネジメント特別委員会(第6回)
2019 年 7 月 5 日
3)
松下佳代 (2016). 「アクティブラーニングをどう評価するか」松下佳代・石井英真(編)『アクティブラーニングの評
価』東信堂, 3-25.
4)
WSCUC. (2015). Using evidence in the WSCUC accreditation process: A guide for
institutions (2nd ed.).
5)
Banta, T., & Palomba, C. (2015). Assessment essentials: Planning, implementing, and
improving assessment in higher education (2nd ed.). San Francisco: Jossey Bass.
6)
Kruger, J., & Dunning, D. (1999). Unskilled and unaware of it: How difficulties in
recognizing one's own incompetence lead to inflated self-assessments. Journal of
Personality and Social Psychology, 77(6), 1121-1134.
②形成的評価と総括的評価
評価という行為は、一般に事実特定(Fact Finding)と価値判断(Value Determination)1)の二
つの連続的なプロセスによって捉えられる。事実特定とは、評価の対象がどのような状態であるか、まず
関連する情報を収集し整理する行為である。教育評価においては、このために各種の記録行為が要求
される。授業のプロセスを記録したり、学修成果をテストあるいはポートフォリオなどの形で収集したり、
あるいは大学や授業、教員に関わる評価アンケート等を用いて必要な情報を収集することが行われて
いる。価値判断とは、収集した情報を用いて、目的に応じて価値を定める意思決定のことを指す。これに
より、どのような改善を行うかといった方針や、より具体的には予算の配分や設備・人的投資の方向性
などが定められる。
教育評価の目的としては、学修者の準備状況と取り巻く社会・制度等の状況の把握(診断的評価)、
評価対象の改善(形成的評価)、最終的な価値の決定(総括的評価)などが挙げられる。形成的評価は
学修の過程で実施し、学修者に到達目標の達成に不足している点を気づかせ、改善を促すことを目的
とする。指導者から学修者へ効果的なフィードバックを行うには、対象の明確化や適切な頻度とタイミン
グが重要である。総括的評価は学修過程の終了時期に実施し、学修者が到達目標(達成水準)に到達
しているかの評定を目的とする。対象をどのように評価するか、を決定することは、どのように(どのよう
な)事実を特定し、どのような価値判断が行われるかを定めることである。
看護学教育の総括的評価は、大学や資格付与機関が社会に対して果たすべき重要な責務であり、単
位認定試験、進級判定、卒業試験、看護師国家試験などが該当する。コンピテンシー基盤型カリキュラ
ムによる看護学教育の質保証ならびに2040年の社会のニーズに合わせた看護学教育の充実では、ア
ウトカム設定、アウトカムを測定するための評価指標、評価指標の信頼性と妥当性の検証など一貫性あ
るカリキュラム評価が求められている 2)。科目レベルの評価とプログラムレベルの評価をつなぐ評価で
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ュラム改訂案の第3章第2節④の「Miller のピラミッドの各段階、対応する資質・能力、直接・間接・量
的・質的評価の例」で示す。また、直接評価を間接評価によって代替することは困難であり、「ダニング=
クルーガー効果」により能力が低い者は能力を過大評価し、高い者は控えめに評価する傾向がある 6)と
いう考え方から、共通認識化された評価方法として臨地実習での観察評価、OSCE (Objective
Structured Clinical Examination)、CBT (Computer-Based Testing)の音声動画あり、
CBT の音声動画なし、Scenario based simulation などもあわせて検討し、看護学教育モデル・コ
ア・カリキュラム改訂案では第3章第2節④に示した。
【引用文献】
1)
「教学マネジメント指針」用語解説。「教学マネジメント指針」(令和 2 年 1 月 22 日 大学分科会)
https://www.mext.go.jp/content/20200206-mxt_daigakuc03-000004749_005.pdf
2)
松下佳代(2019):学習成果とその可視化.中央教育審議会大学分科会 教学マネジメント特別委員会(第6回)
2019 年 7 月 5 日
3)
松下佳代 (2016). 「アクティブラーニングをどう評価するか」松下佳代・石井英真(編)『アクティブラーニングの評
価』東信堂, 3-25.
4)
WSCUC. (2015). Using evidence in the WSCUC accreditation process: A guide for
institutions (2nd ed.).
5)
Banta, T., & Palomba, C. (2015). Assessment essentials: Planning, implementing, and
improving assessment in higher education (2nd ed.). San Francisco: Jossey Bass.
6)
Kruger, J., & Dunning, D. (1999). Unskilled and unaware of it: How difficulties in
recognizing one's own incompetence lead to inflated self-assessments. Journal of
Personality and Social Psychology, 77(6), 1121-1134.
②形成的評価と総括的評価
評価という行為は、一般に事実特定(Fact Finding)と価値判断(Value Determination)1)の二
つの連続的なプロセスによって捉えられる。事実特定とは、評価の対象がどのような状態であるか、まず
関連する情報を収集し整理する行為である。教育評価においては、このために各種の記録行為が要求
される。授業のプロセスを記録したり、学修成果をテストあるいはポートフォリオなどの形で収集したり、
あるいは大学や授業、教員に関わる評価アンケート等を用いて必要な情報を収集することが行われて
いる。価値判断とは、収集した情報を用いて、目的に応じて価値を定める意思決定のことを指す。これに
より、どのような改善を行うかといった方針や、より具体的には予算の配分や設備・人的投資の方向性
などが定められる。
教育評価の目的としては、学修者の準備状況と取り巻く社会・制度等の状況の把握(診断的評価)、
評価対象の改善(形成的評価)、最終的な価値の決定(総括的評価)などが挙げられる。形成的評価は
学修の過程で実施し、学修者に到達目標の達成に不足している点を気づかせ、改善を促すことを目的
とする。指導者から学修者へ効果的なフィードバックを行うには、対象の明確化や適切な頻度とタイミン
グが重要である。総括的評価は学修過程の終了時期に実施し、学修者が到達目標(達成水準)に到達
しているかの評定を目的とする。対象をどのように評価するか、を決定することは、どのように(どのよう
な)事実を特定し、どのような価値判断が行われるかを定めることである。
看護学教育の総括的評価は、大学や資格付与機関が社会に対して果たすべき重要な責務であり、単
位認定試験、進級判定、卒業試験、看護師国家試験などが該当する。コンピテンシー基盤型カリキュラ
ムによる看護学教育の質保証ならびに2040年の社会のニーズに合わせた看護学教育の充実では、ア
ウトカム設定、アウトカムを測定するための評価指標、評価指標の信頼性と妥当性の検証など一貫性あ
るカリキュラム評価が求められている 2)。科目レベルの評価とプログラムレベルの評価をつなぐ評価で
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