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資料3 ①看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案 (46 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00003.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第3回 6/20)《文部科学省》 |
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の「卒業時点・各領域実習前時点の到達度」「臨地実習時点の指導体制と委託の程度」の活用が、一助
となる。今後はこれらに対して、詳細な評価基準と評価項目、達成水準が言語で表現・設定され共通認
識された評価につながることが望ましい。
評価能力の例では、看護教育者のコンピテンシーとして、WHO の看護教育者のコア・コンピテンシー
1)
があり、成人学習理論と原理、カリキュラムと実装、看護実践、研究とエビデンス、コミュニケーション、
協働、パートナーシップ、倫理的/法的原理とプロフェッショナリズム、モニタリングと評価、管理・リーダ
ーシップとアドボカシーなどがコンピテンシーとして挙げられている。さらに、看護学生の看護実践能力
の向上に向けた指導体制や評価者能力には、National League for Nursing (NLN)が挙げる
「Academic Clinical Nurse Educator」「The Academic Novice Nurse Educator」
「Academic Clinical Nurse Educator」があり、それぞれの教育者としてのコンピテンシー、認定
資格試験のための実践分析に基づいた CBT やブループリントが明確に出されている 2)。看護教育学
上級実践コースとしてクリニカルナース・エデュケーター(Clinical Nurse Educator; CNE)育成プ
ログラム 3)がある。このコースでは、看護系大学の学生および臨床におけるスタッフの教育に携わること
のできる能力、および看護の実践の場を常に学術研究成果と直結させて看護ケアの質を改善していく
能力を有する人材としての CNE の育成を目的としている。
今後、評価能力の確保により臨地実習における看護学生のさらなる実践能力の向上を目指すには、
各実習施設における①CNE のような教育者の育成、②教育者の能力が保証される仕組み、③教育者
の実質的な確保の 3 条件も併せて検討が必要 4)である。看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案
では指導体制と委託の程度、ならびに目指すべき到達度や実践が明記されたことから、これまでは各大
学によって異なっていた指導体制と委託の程度、実践の機会について共通認識を図ることに活用でき
る。これはコンピテンシー基盤型教育ならびに、コンピテンシー基盤型カリキュラムの評価能力の向上に
寄与する。
また、評価能力の観点からは、教員の教育能力や看護実践能力などのコンピテンシーを支援・保証す
る必要もある。教員としてのコンピテンシーは、各教育機関のファカルティ・ディベロップメント(Faculty
Development; FD)やスタッフ・ディベロップメント(Staff Development;SD)に任せられており、
看護学教育の質保証、評価能力を担保する教員の教育能力の検討は難しかった。看護学教育モデル・
コア・カリキュラム改訂案では学生が身につけるべき能力とアウトカムと到達度が示されているため、学
生が学修成果に到達しなかったことは教育評価につながり、ひいては教員の能力評価にもつながる。教
員としてのコンピテンシーを支援する体制の例としては、全教員のコンピテンシーの保証に e-learning
を活用した受講システムなどの検討、看護学教育の継続的質改善モデル開発と活用推進プロジェクト 5)
のような支援は可能である。教員の教育能力ならびに評価能力に関しては、看護学士課程教育全体と
して検討を進めるとともに、各大学において教学マネジメントを支える基盤 (FD・SD、教学IR)の取り
組みとも合わせて検討し、授業科目レベルの講義・演習・実習の評価、学位プログラムレベルのカリキュ
ラム評価、大学全体レベルの内部質保証を進めていく必要がある。そして、評価能力と評価指標の妥当
性は、常に検討し、継続評価されることが看護学教育の質保証につながる。
【引用文献】
1)
聖路加国際大学. (2019). 看護教育者のコア・コンピテンシー (World Health Organization: Nurse
educator core competencies). (原文出版年 2016 年).
http://university.luke.ac.jp/about/project/jgl9rh0000003fz6-att/jgl9rh0000003g07.pdf
2)
National League for Nursing. (2022). Certified Academic Clinical Nurse Educator
(CNEcl®). https://www.nln.org/certification/Certification-for-Nurse-Educators/cne-cl(検
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となる。今後はこれらに対して、詳細な評価基準と評価項目、達成水準が言語で表現・設定され共通認
識された評価につながることが望ましい。
評価能力の例では、看護教育者のコンピテンシーとして、WHO の看護教育者のコア・コンピテンシー
1)
があり、成人学習理論と原理、カリキュラムと実装、看護実践、研究とエビデンス、コミュニケーション、
協働、パートナーシップ、倫理的/法的原理とプロフェッショナリズム、モニタリングと評価、管理・リーダ
ーシップとアドボカシーなどがコンピテンシーとして挙げられている。さらに、看護学生の看護実践能力
の向上に向けた指導体制や評価者能力には、National League for Nursing (NLN)が挙げる
「Academic Clinical Nurse Educator」「The Academic Novice Nurse Educator」
「Academic Clinical Nurse Educator」があり、それぞれの教育者としてのコンピテンシー、認定
資格試験のための実践分析に基づいた CBT やブループリントが明確に出されている 2)。看護教育学
上級実践コースとしてクリニカルナース・エデュケーター(Clinical Nurse Educator; CNE)育成プ
ログラム 3)がある。このコースでは、看護系大学の学生および臨床におけるスタッフの教育に携わること
のできる能力、および看護の実践の場を常に学術研究成果と直結させて看護ケアの質を改善していく
能力を有する人材としての CNE の育成を目的としている。
今後、評価能力の確保により臨地実習における看護学生のさらなる実践能力の向上を目指すには、
各実習施設における①CNE のような教育者の育成、②教育者の能力が保証される仕組み、③教育者
の実質的な確保の 3 条件も併せて検討が必要 4)である。看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案
では指導体制と委託の程度、ならびに目指すべき到達度や実践が明記されたことから、これまでは各大
学によって異なっていた指導体制と委託の程度、実践の機会について共通認識を図ることに活用でき
る。これはコンピテンシー基盤型教育ならびに、コンピテンシー基盤型カリキュラムの評価能力の向上に
寄与する。
また、評価能力の観点からは、教員の教育能力や看護実践能力などのコンピテンシーを支援・保証す
る必要もある。教員としてのコンピテンシーは、各教育機関のファカルティ・ディベロップメント(Faculty
Development; FD)やスタッフ・ディベロップメント(Staff Development;SD)に任せられており、
看護学教育の質保証、評価能力を担保する教員の教育能力の検討は難しかった。看護学教育モデル・
コア・カリキュラム改訂案では学生が身につけるべき能力とアウトカムと到達度が示されているため、学
生が学修成果に到達しなかったことは教育評価につながり、ひいては教員の能力評価にもつながる。教
員としてのコンピテンシーを支援する体制の例としては、全教員のコンピテンシーの保証に e-learning
を活用した受講システムなどの検討、看護学教育の継続的質改善モデル開発と活用推進プロジェクト 5)
のような支援は可能である。教員の教育能力ならびに評価能力に関しては、看護学士課程教育全体と
して検討を進めるとともに、各大学において教学マネジメントを支える基盤 (FD・SD、教学IR)の取り
組みとも合わせて検討し、授業科目レベルの講義・演習・実習の評価、学位プログラムレベルのカリキュ
ラム評価、大学全体レベルの内部質保証を進めていく必要がある。そして、評価能力と評価指標の妥当
性は、常に検討し、継続評価されることが看護学教育の質保証につながる。
【引用文献】
1)
聖路加国際大学. (2019). 看護教育者のコア・コンピテンシー (World Health Organization: Nurse
educator core competencies). (原文出版年 2016 年).
http://university.luke.ac.jp/about/project/jgl9rh0000003fz6-att/jgl9rh0000003g07.pdf
2)
National League for Nursing. (2022). Certified Academic Clinical Nurse Educator
(CNEcl®). https://www.nln.org/certification/Certification-for-Nurse-Educators/cne-cl(検
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