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資料3 ①看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案 (43 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00003.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第3回 6/20)《文部科学省》
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準の精巧な明確さだけでなく、期待されるパフォーマンス・レベルについての共通認識を持つものであ
る。
また、教学マネジメント4)の学位プログラムレベルでも、卒業までに身に付けるコンピテンシーの明示、
学修成果を定量的または定性的な根拠に基づく評価、日常的あるいは総合的なモニタリング・評価、ル
ーブリックなどによる具体的な達成水準の明示、到達度分析・検証、学修成果の可視化、評価方法と内
容の検討、情報公表などが挙げられている。つまり、学修成果の達成水準を示すためには、ルーブリック
に限らず、定量的または定性的な根拠に基づいたモニタリング・評価、到達度分析や指標の検証が必要
である。
パフォーマンス・レベルでの評価には、「真正の評価(authentic assessment)」が重要である5)。
「真正の評価」論とは、現実世界において人が知識や能力を試される状況を模写したり、シミュレーショ
ンしたりしつつ評価することを主張する 6)。評価方法を検討するにあたっては、「真正性
(authenticity)」の程度として、例えば、実践現場での実習は最も真正性の高い状況であるが、シミュ
レーションの状況設定は、実践現場よりも真正性は低いなど、リアルさの違いにも注目する。さらにシミ
ュレーションの状況設計は、計画的に評価できることに加え、現実にはなかなか体験できないような事例
(特殊な症例や緊急事態への対応など)も含められるという利点がある。一方、実習では事例の状況や
難易度は設定が難しい点も検討する必要がある。各資質・能力の到達度に評価項目と評価基準をより
詳細に作成することで、確実な実践の評価が可能となる。
達成水準の設定としては、委託可能な専門的活動(Entrustable Professional Activities;
EPA)5)の考え方が国際的にも広まっており、学内での講義や演習、そして実習での評価としても重要
な視点である。EPA は、学生や研修生がその活動を監督なしで実行するために必要な能力を発揮した
後に、学生や研修生に全面的に委託することが可能な専門的実践の単位である。
EPA としてどこまで任せられるかという考え方は、臨床現場の看護実践の活動に大きな影響が出
る。そのため、看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案の「臨地実習前時点と卒業時点の到達度」
「臨地実習時点での指導体制と委託の程度」を活用し、学生、教員、実習指導者、臨地実習施設が臨地
実習前時点の到達度の共通認識を持つこと、看護師に必要な看護実践能力を修得するために、臨地実
習において適切な指導の下、看護学生が看護実践を行うこと、そして卒業時の新人看護師に求められ
る到達度の共通認識を持つことが重要である。
***********コラム:ルーブリック評価とその作成************
ルーブリック評価は学修成果を明確に評価し、教育プロセスの透明性と一貫性を担保するための効
果的な評価手法である。ルーブリックは、対象となる課題や授業、実習に対する評価基準を明示し、評
価者が学修者に対してルーブリックを提示し、評価の過程や方法を体系的かつ公平に評価できる。これ
により、評価の客観性が担保され、学修者に対して期待される成果や基準を明確に共有することが可能
となる。
ルーブリックの作成においては、評価の目的と基準を明確にする必要がある。評価の対象は、学修者
が達成すべき具体的な成果やコンピテンシーを定義するものであり、これに基づいて評価を行う。評価
基準の記述には、学修者がどのような行動や成果を示すべきかを具体的にすることが重要である。
具体的には、評価の項目ごとに達成度レベルを段階的に示す構成である。各評価項目の記述は、パ
フォーマンスのレベルを明示するものとし、優・良・可・不可などのように、複数の達成度レベルに分けら
れる。各レベルに求められるパフォーマンスを詳細に記述することにより、学修者がどのような成果やコ
ンピテンシーをどのようなレベルで達成できれば良いのかを明示する。
評価基準の設定に際しては、評価に関わる全員で多面的な視点から評価基準を検討し、合意形成す
る事でより明確な基準を作成することが可能となる。ルーブリックは評価者のみが共有するのではなく、

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