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資料3 ①看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案 (8 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00003.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第3回 6/20)《文部科学省》
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の知識確認に留まっているが、コンピテンシーとアウトカムとそれらを測定するツールの一貫性として、
CBT 試験問題作成のシステム構築が課題として残されている。
⑤臨地実習におけるアウトカムの設定とその評価及び測定方法の明確化
臨地実習は、学生がコンピテンシーを獲得する機会であるため、臨地実習ガイドラインにアウトカム
を設定し、評価及び測定方法を提示することが必要である。
2020 年度(令和 2 年度)に文部科学省から発出された「看護学実習ガイドライン 30)」は、大学と実
習施設との連携・協働体制の構築、看護学実習前の調整、ケアへの参画における指導方法、評価方法
から構成された。評価方法は、実習目的・目標に対応し、外部基準を参照した実習評価項目を設定し、
到達目標に基づく到達度評価の実施が示されたが、各大学の責任に委ねられた。従って、臨地実習の
質を保証する明確なアウトカムとしては、設定されていない現状にある。

4.臨地実習における質保証に向けて
4-1.臨地実習における看護行為実施の現状と課題
保健師助産師看護師法(以下、「保助看法」という。)は、第 31 条第1項において、看護師以外の者
が「療養上の世話又は診療の補助」を行うことを禁じている。看護師免許を有しない看護学生は、その
ような行為を実施するとこれに抵触する。一方、指定規則第4条に看護師学校養成所の指定基準とし
て、臨地実習が規定され、学生は臨地実習を行うことが義務付けられている。このように、臨地実習に
おける看護行為の実施については矛盾を抱えている。
この矛盾に対し、「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書」(2003 年(平
成 15 年)3 月厚生労働省医政局看護課)31)において、「看護師等の資格を有しない学生の看護行為
も、その目的・手段・方法が、社会通念から見て相当であり、看護師等が行う看護行為と同程度の安
全性が確保される範囲内であれば、違法性はないと解することができる。」と明示された。違法性が阻
却されるための条件は、①患者・家族の同意のもとに実施されること、②看護教育としての正当な目的
を有するものであること、③相当な手段、方法をもって行われること、④法益侵害性が当該目的から見
て相対的に小さいこと、⑤当該目的から見てその行為の必要性が高いことが条件であると示された。
2022 年度に JANPU が会員校を対象に行った臨地実習に関するアンケート調査【A 調査】32)で
は、各技術項目について「75%以上の学生が経験している」との回答肢を、70%以上の大学が回答
した項目は療養上の世話に相当する技術 33 項目のうち成人看護学を例にとると、「フィジカルアセス
メントを指導の下で実施している」(77.1%)、「安全な療養環境の整備を指導の下で実施している」
(78.6%)のみであった。診療の補助に相当する技術 20 項目のうち、「医療機器の操作・管理を見学
している」(38.4%)が最も高く、臨地実習において看護技術が実施できていない現状が示された。
この結果は、看護学生による看護行為は条件のもとに違法性の阻却がなされているが、医療安全が
優先された可能性によるものと考えられた。

4-2.臨地実習指導体制の課題
文部科学省の「大学における医療人養成の在り方に関する調査研究委託事業」(2015~2017 年
度(平成 27~29 年度))による「看護系大学学士課程の臨地実習とその基準作成に関する調査研
究」33)(JANPU)において、大学と実習施設における連携・協働体制の構築について参照基準が示さ
れた。この中で確認されたことは、臨地実習は、大学教員、実習施設の指導者、学習する学生により成

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