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資料2-2 MID-NET・NDB の行政利活用の調査実施状況について[3.8MB] (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44308.html
出典情報 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第2回 10/24)《厚生労働省》
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ある群におけるアウトカム発現までの期間の中央値については、アウトカム①では
24.0~72.0 日(別添 表 1)であり、アウトカム②では 32.0~53.0 日であった(別添
表 2)。曝露群 10(テモカプリル塩酸塩)については、アウトカム①及びアウトカ
ム②の発現までの期間の中央値はそれぞれ 245.0 日及び 224.5 日であった。


結果を踏まえた考察



肝機能検査値異常の発現リスクに関して、既に注意事項等情報の重大な副作用の項
にて注意喚起されているエナラプリルマレイン酸塩の発現リスクと比較して、曝露
群 8(リシノプリル水和物)、曝露群 11(トランドラプリル)並びに肝機能検査値
異常の発現が観察されなかった曝露群 6(キナプリル塩酸塩)及び曝露群 9(ベナゼ
プリル塩酸塩)を除く、他の ACE 阻害薬は両アウトカム定義で一貫した有意なリ
スク増加又は減少の傾向は認められなかった。また、曝露群 3(デラプリル塩酸塩)
及び曝露群 11(トランドラプリル)でハザード比が比較的大きかったこと及び曝露
群 4(シラザプリル水和物)でハザード比が比較的小さかったことについて、特に
慎重に解釈する必要があるものの、当該 3 群の医薬品の検討は患者数及び肝機能検
査値異常の発現数が限られており、ハザード比の信頼区間の幅が広いことから、肝
機能検査値異常の発現リスクに関して、エナラプリルマレイン酸塩との相対的なリ
スクの差異を必ずしも判断できるものではないと考えられた。



肝機能検査値異常の発現時期に関して、中央値は各医薬品でバラツキがあるもの
の、その四分位範囲や追跡期間のばらつき等を踏まえると、医薬品間で大きな差異
はなく、処方後 2~3 カ月までに発現することが多いと考えられた。



なお、曝露群 1(カプトプリル)に関して、処方状況から、高血圧症の治療として
ではなく、原発性アルドステロン症の機能確認検査のカプトプリル負荷試験††とし
て処方されている可能性が考えられた。



本調査では高次元傾向スコアの手法を用いて、可能な限りの交絡因子の調整を行っ
ているものの、潜在的な交絡因子(例:高血圧症の重症度、過去の肝機能検査値異
常の既往歴等)が結果に影響を与えている可能性は否定できないことや群によって
は患者数が少なく、交絡が十分に調整できていないこと等の一定の限界があること
に留意が必要である。また、高次元傾向スコアの推定は各曝露群と対照群の組合せ
に対して行っており、各曝露群間の比較可能性は担保されていないことから、本調
査で認められた各曝露群のハザード比は必ずしも各曝露群間の肝機能検査値異常
のリスクの大小関係を示しているとは限らないことに留意する必要がある。

†† 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:高血圧治療ガイドライン 2019.ライフサイエンス出版,東

京,2019.

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