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父親支援マニュアル (10 ページ)

公開元URL https://www.ncchd.go.jp/scholar/section/policy/project/papasupport_manual.pdf
出典情報 日本初・自治体向け父親支援マニュアルを公開-「父親の産後うつ」や孤立を防ぎ、幸せな子育て期の実現を目指して-(1/30)《国立成育医療研究センター》
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第1章

父親支援に必要な基本事項

父親の豊かな生き方へ

父親支援とは何か

父親支援を行うにあたり、以下の四つの視点を
意識した取り組みが求められる。

子育てへの関わりが少なくなりやすい父親を、
子育ての対象と捉えて支援するためには、父親支
援という概念の形成が必要となる。父親支援につ
いての基礎的理解を説明する。

求められる父親支援

1

父親が子育てについての正しい知識や理解、
価値観を得られるように父親をエンパワーメ
ントする。

2

父親が母親とのパートナーシップについて理
解し、夫婦ともに子育てができるようにする。

3

父親が仕事や、生活、家庭、地域との良いか
かわりができるように、ワークライフバラン
スを意識した生活者になれるようにする。

4

父親が育児や家庭生活の主体者のひとりとな
れるように、地域社会の環境に対して関わり
やネットワークができるようにする。

近年では、父親の子育てへの関心や関与が急速
に高まっているが、それ以前は、子育ての場面に
おける父親の役割やその期待はさほど高くなかっ
た。母親が中心となって子育てに勤しみ、父親が
ほとんど育児に関わらなかった家庭も少なくな
かった。つまり父親が育児をするという発想や、
その具体的な方法や理念が社会的に注目されるこ
とはなく、そのため共有もされてこなかった。父

これまで父親は、子育ての中心的な役割を担う

親の育児が注目されていない中で、その支援やサ

よりは仕事中心の役割を担うことが多く、家族を

ポートも当然発展はしなかった。しかし近年、父

養うために収入を得ることにより、育児の免罪符

親の育児が注目される中で、父親支援が希求され、

が与えられていた。しかしそのことは、
父親が「育

その実践例が多く見られるようになった。

児をする機会」や「育児支援を受ける機会」を失

そこで現在の父親支援の有り様を鑑みて、本マ

うことにもつながった。

ニュアルでは父親支援を以下のように定義する。

近年ようやく、男性の育児休業や、企業・社会
の父親支援が推進されるようになり、父親も育児
に関わりやすい環境整備が始まってきている。こ

本マニュアルにおける父親支援の定義

れらの機会を活用し、学校教育から一連のつなが
りの中において、社会全体で父親の育児をする機

父親支援とは父親が親としての喜びを享受

会、育児ができる環境を整えていくことが求めら

しつつ、子育てに本来の力が発揮できるよ

れている。そのことは少子化対策などにも影響を

うにするための、支援者のかかわり方や環

与えるものではあるが、それ以上に男性が育児に

境の整備の総称であり、単に父親のための

関わり父親としての喜びや、親としての責任を果

プログラムを提供・実施することだけでは

たすことができる社会の構築につながる。男性の

ない。

より豊かな生き方が、今子育てから求められてい
るのである。

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