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父親支援マニュアル (8 ページ)

公開元URL https://www.ncchd.go.jp/scholar/section/policy/project/papasupport_manual.pdf
出典情報 日本初・自治体向け父親支援マニュアルを公開-「父親の産後うつ」や孤立を防ぎ、幸せな子育て期の実現を目指して-(1/30)《国立成育医療研究センター》
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第1章

父親支援に必要な基本事項

はじめに
21 世紀に入り社会が複雑化し、その根底にある価値観は多様化をし続けている。以前なら
社会で共有されていた共通の価値観や事象が、見方や立場が変化する中で共有されにくくなり、
時に対立の構図が生み出される。家族内で極めて個別性の高かった育児においても、同様な傾
向が見られる。そもそも子育ては極めてプライベートな営みであり、どのように子どもを持ち、
またどのように育てるかは、親や家族内において判断されてきた。他者の意見や社会としての
目指す方向があるにせよ、基本的には親の思いが優先されている。しかし近年、少子化や子ど
もを取り巻く環境の悪化が進行し、国家的な危機として、社会的にも高い関心が示されるよう
になってきた。

子育てはプライベートな活動ではある一方で、社会的な影響を全く受けないわけではない。
育児においては、これまで母親中心のシステムが構築されていたため、父親の積極的な関与が
やや難しい状況であったことは「まえがき」で述べた。政府は男女共同参画社会の実現を掲げ
てはいるが、男女が平等に育児をすることができているとは言いがたい。もちろん妊娠・出産
とそれに続く授乳は女性特有の営みであり、男性には不可能なこともあるが、育児には、男性
が関われることがたくさんある。
たとえば、子どもを育てる行為は親の様々なリソースを子どもに費やすことであり、家族の
発達の中において「排出期」とされる。しかし一方、そのことを通じて親子の絆の構築や、子
どもを育てる喜びを享受するタイミングでもある。この時期において父親が育児に関わらない、
関われないことは、父親がそうした喜びや楽しさを享受する機会を失ってしまうという一面も
ある。父親支援は、父親を母子の支援者とみなし、その支援者を社会的に支援するという考え
だけでなく、父親が親としての喜びをより感じられるように、
支えることを目指すものでもある。

父親が親として、そして一人の市民として次世代の育成に責任を持ち、また育児に喜びを感
じられるようになることが、父親支援の目指すものであり、それは母親も含めた豊かな家庭・
地域・社会そして将来を作り出す取り組みの過程でもある。

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