よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


父親支援マニュアル (18 ページ)

公開元URL https://www.ncchd.go.jp/scholar/section/policy/project/papasupport_manual.pdf
出典情報 日本初・自治体向け父親支援マニュアルを公開-「父親の産後うつ」や孤立を防ぎ、幸せな子育て期の実現を目指して-(1/30)《国立成育医療研究センター》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第2章

父親支援プログラムのポイント

られ、その中の一部の父親たちが育児への強い関

父親のニーズの変化
への対応

心を持つようになった。限定的ではあるが父親の
育児の黎明期であり、父親支援の必要性が社会的
に認識された。

父親の育児に対するニーズは時代とともに変化
してきた。令和になり、父親の積極的な育児への

令和 父親のみならず社会全体のワークライフ

関わりは広がった。実際にはそうできない環境が

バランスの進展、人口減少や産業構造の変化によ

あり、葛藤もあるが、
「共に育てる」意識は高まっ

る働き方改革、ジェンダー規範への批判、働く人

ている。

や社会全体の人権意識の向上、コロナ禍による価
値観の転換など、令和に入りこれまでの働き方や

昭和・平成・令和のニーズ
社会の大きな変化の中で、父親のライフスタイ

ライフスタイル自体のあり方に、大きな変革が起

ルや子育てを取り巻く環境は劇的な変化が起きて

きた。それらにともない、父親の育児にも顕著な

いることは、これまで述べてきた。ここでは時代

変化が見られるようになった。父親の育児に対す

の変化の中における父親のニーズの変遷を理解し、

る積極的な関わりや、自ら育児の主体となるよう

現在の父親のニーズについて考える。

な行動や取り組みが広がった。育児を肯定的に語
り、実践する父親が増加し、それらを後押しする

昭和 高度経済成長期において固定的な性別役

企業や社会が出現したのである。

割分業が社会的に規定され、
「 働く男性/育てる
女性」の方程式が出来上がった。その文化の中で、

「共に働き、共に育てる」意識

個々の家庭や個人に様々な思いはあったものの、

しかし一方で、
「育児がしたい」と父親が願って

男性の生き方が仕事中心となり、男性が子育てに

も、それが許されない環境もまだ存在しており、

関わること自体が少なくなった。父親のニーズは

多くの父親のニーズとして
「積極的に育児に関わ

稼ぐことであり、家族のために自分が出世するこ

る」ことが高まってきても、実際にはそれができ

とであった。

ないジレンマや葛藤が生じている。
現在は共働き家庭の増加や女性の地位や賃金の

「 脱会
平成 バブル崩壊後の低成長経済の中で、

向上、男女共同参画意識の醸成という社会状況の

社・仕事」が突然求められ、それまでの男性の生

中で、以前に比べ男女間のフラットな関係性が生

き方やライフスタイルに変化が起きた。その中で

活のベースとなっている。男女ともに「共に働き、

一部の父親たちが自らのウェルビーイングを考え、

共に育てる」意識や感覚を大切にする関係性が見

これまでの仕事中心的な生き方から、家族や子育

られる。そのような状況下での父親の育児ニーズ

てと仕事を両立させる生き方にシフトさせた。そ

は、積極的に子育てに関わり、家族の一員として

れが「イクメンブーム」の契機となっている。多

母親と同様に親としての責任を果たすことであり、

くの男性とはまだまだ言い難いが、一部の男性か

育児や子育てを楽しみたいというものである。も

ら「自らの手による子育ての実践、実感」を求め

ちろん全ての父親がそのように考えているわけで

る声や行動が見られるようになった。父親のニー

はないが、育てる主体としての父親の存在感が多

ズとして「自らのライフスタイルの充実」が求め

くの場面で見られるようになった。

18