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父親支援マニュアル (11 ページ)

公開元URL https://www.ncchd.go.jp/scholar/section/policy/project/papasupport_manual.pdf
出典情報 日本初・自治体向け父親支援マニュアルを公開-「父親の産後うつ」や孤立を防ぎ、幸せな子育て期の実現を目指して-(1/30)《国立成育医療研究センター》
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第1章

父親支援に必要な基本事項

父親支援の変遷
父親支援は近年始まったばかりであるが、その
取り組みの社会的背景と変遷について理解を行う。
特に、近年の父親を取り巻く環境の変化は顕著に
なっている。

父親育児の歴史
グラムが、自治体やNPOなどの子育て支援にお

江戸時代の武家社会において、その最大の責務

いて散見されるようになった。

は家名の継続であり、そのために家庭内の教育に
重点が置かれていた。そのような文化の中におい

現在は社会の多様性、少子化の進展、男女共同

ては父親が直接子どもに対して教育を行い、育児

参画社会の志向など、さまざまな背景の中で父親

も含めた人格の形成に努めていた。そのような文

の育児が社会的に求められている。その支援も行

化的な背景を考えれば、父親の育児は我が国にお

政、子育て支援関係者、NPO、父親の当事者団体、

いて決して特別なものではなかった。

企業等、様々な主体が実践者として多くのプログ
ラムを行なっている。過去に例を見ないほど、全

しかし戦後の高度経済成長期において、男性労

国的に父親支援が取り組まれている。

働力の必要性から都市部への人口流入が始まり、
強靭な労働力供給が社会的な大きな課題となった。
そのために家庭内における、日常的な男性労働力
の再生産のために、男女の固定的な性別役割分業
が求められ「専業主婦」が誕生した。同時に「家事」
のみならず「育児」も、女性の仕事とされた。こ
のように、短期的には効率的に日々の労働力を高
めることができたが、家事・育児を母親のみに担
わせることを強いるようにもなった。

近年の父親育児の動向
昭和後期以降、少子化が大きな社会課題になり
はじめ、にわかに父親の育児に社会的な関心が
高まった。2010年の流行語大賞に「イクメン」が
選ばれ「育児をする男性」が話題となった。つま
り、それだけ育児をする男性が社会において珍し
く、耳目を集める稀有な存在であったとも言える。
同時に育児に関心を持つ父親を支援する必要性が、
子育て支援関係者の間に意識づけられ始めた。イ
クメンブームの中で、父親支援のさまざまなプロ

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