第5章

具体的な支援策と実践例

表5 −２

産前教育や妊婦健診における父親のモヤモヤ

モヤモヤした経験はない
母親を理解する内容に偏っており、
父親を理解する内容が少ない
妊婦健診の場は女性が多く行きづらい
妊婦健診では自分がただの付き添い役に思える出
産や育児を考える際に自分の意見を言いにくい
母親のための父親教育ばかりである
性生活の代わりに夫から触れることばかり
強調される
産前教育に関わる専門職が父親を
理解しようとしない
産前教育に行くと説教されそうな気がして

行きづらい

0

厚労省科研：20DA1002

10

20

30

40

50

60

（％）

わが国における父親の子育て支援を推測するための科学的根拠の提示と支援プログラムの提案に関する研究

婦健診における父親のモヤモヤも確認してい

て を 優 先 す る こ と で 失 わ れ る キ ャ リ ア の 問 題、

る（表5−２参照）。

社会制度や自分の親世代とのギャップは、父親

産 前 教 育 や 妊 婦 健 診 に お い て は、半 数 以 上

本 人 の 努 力 で 改 善 す る こ と が 難 し く、父 親 に

の父親は「モヤモヤした経験はない」と回答し

とっては深刻な問題となっており、解消されて

て い た が、
「産前教育の内容が母親を理解する

いないこともわかった 。
＊6

内容に偏っており、父親を理解する内容が少な

今 後、父 親 の 育 児 休 業 取 得 率 が 上 昇 し、育 児

い 」と い う 声 も 多 く み ら れ た。先 ほ ど の 夫 婦 関

に関わる父親がより増えることで、新たな支援

係のモヤモヤと合わせて解釈すると、乳幼児を

ニ ー ズ が 生 じ て く る 可 能 性 も あ る。夫 婦 の ラ

育てる父親において、
「（母親の理解も大事だが、）

イ フ ス タ イ ル や 就 業 状 況、地 域 特 性、価 値 観 に

自分のこともわかってほしい」という潜在的な

よって父親の支援ニーズは異なる。それらを把

ニーズが存在している可能性がある。このよう

握 し、ア セ ス メ ン ト し な が ら、新 た な 事 業 や 取

に、聞 き 方 を 工 夫 す れ ば、父 親 の ニ ー ズ を 多 様

り組みを検討していきたい。

な側面から検討でき、父親と接することができ
るさまざまな場面で、ニーズを拾っていくこと
が重要である。
こ の 他 に も、職 場 に 感 じ る ス ト レ ス や、子 育

55