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父親支援マニュアル (16 ページ)

公開元URL https://www.ncchd.go.jp/scholar/section/policy/project/papasupport_manual.pdf
出典情報 日本初・自治体向け父親支援マニュアルを公開-「父親の産後うつ」や孤立を防ぎ、幸せな子育て期の実現を目指して-(1/30)《国立成育医療研究センター》
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第2章

父親支援プログラムのポイント

はじめに
これまで子どもを育てる支援は「保育」「親育て」「育児支援」「子育て支援」「次世代育成支
援」など、様々な取り組みやアプローチがなされてきた。またその主体も、国、自治体、公
的機関、NPO、各種職能団体、当事者団体、支援者団体、任意団体等、多種多様であった。
社会全体において子育て支援活動の裾野は大きく広がりを見せている。そしてその内容や取
り組みも、様々なものが存在している。

しかしその対象のほとんどは、妊産婦である女性であった。近年、社会全体で、この子育
て中の母親への支援が広く行き届くよう取り組まれている。一方で少子化の進展は止まる様
子もなく、状況は悪化している。また妊産婦のメンタルヘルスや児童虐待などの社会課題も、
なかなか改善には至っていない。法律の整備などにともない、子育てを支える環境や取り組
みは、質・量とも充実してきているが、それに相反して子育てを取り巻く環境はまだ改善の
余地が多く残されている。

そのような中で、子育ての支援のあり方自体の変革が求められている。子育ての支援の新た
なる対象者が模索され、これまでの支援のあり方の限界を知り、根本的な対応の変革が必要と
なったのである。もちろん当事者としての母親を支えることは、もっとも根幹に位置付ける必
要がある。しかしその背景にある、子育てを母親中心の役割として押し付けてきたという負の
側面も見逃してはならない。その視点に立てば、子育てを社会全体で支えること、またこれま
で子育てに積極的に関わりを持ってこなかった領域への支援が必要だと考えられる。その広が
りの対象として、企業や地域がフォーカスされ、支援者としては祖父母や地域の高齢者も対象
に位置付けられている。そうした流れの中で、大きく注目されているのが父親である。もう一
人の親としての責任、また母親を支える存在として、これまで育児の主体としてみなされるこ
とが少なかった父親が、支援の対象としてにわかにクローズアップされている。

しかしこの父親支援はまだ始まったばかりであり、社会の認知度も低い。また子育てを支
える専門職の間でも、従来の価値観が根強い場合、父親支援に対する理解も高まりにくい。
このような状況をふまえ、この章ではいまだ黎明期にある父親支援についての理解を進める
ために、支援におけるポイントを整理しておく。

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