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大腸がんファクトシート2024 (53 ページ)

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出典情報 大腸がん対策を推進するための「大腸がんファクトシート」公開(3/27)《国立がん研究センター》
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第6章

今後の方策

4) 情報提供体制
がん検診の意義については、国民に十分に理解されて

いままがん検診を行うことが多く、検査の意義を理解しな

いるとは言い難い。内閣府の調査でも、がん検診を受け

いまま受診していることが、精密検査受診率の低さにつ

ない理由として、「心配なときはいつでも医療機関を受診

ながっている可能性がある。

できるから」、「費用がかかり経済的にも負担になるから」、

学習指導要綱の改正により学校でのがん教育が開始さ

「受ける時間がないから」、「健康状態に自信があり、必要

れ、その効果が期待されるが、検診対象年代におけるが

性を感じないから」といった回答が上位を占め13)、がん検

ん検診の認知度は十分とは言えず、各自治体、あるいは

診が診療とは異なる制度であること、早期発見により

職域検診実施者によるより一層の情報提供が望まれる。

QOLの改善だけでなく費用の削減にもつながること、無

同時に、検診に関して適切な情報発信ができる医師、検診

症状者を対象としていることなどが正しく理解されてい

従事者などの育成にも取り組む必要がある。

ない。また、職域では特定検診と併せて十分な説明がな

③ 海外での大腸がん検診の現状
大腸がん検診は国際的にも有効性が確立しており、多く

成果が上がっており、我々が学ぶべき点が多い。そのいく

の国で対策型検診として実施されている。第4章で紹介し

つかを紹介する。

た英国をはじめ、日本より遅れて導入した国々でもすでに

1) 台湾の事例
台湾では、2004年に便潜血検査免疫法による大腸がん

を統合した中央データベースによって受診状況を管理し、

検診を導入した。導入時の対象年齢は50-69歳(2013年

必要な受診勧奨を行うだけでなく、内視鏡検査の質につ

に50-74歳、2025年からは45-74歳に変更)で、1日法で

いてもモニタリングを行い、また最終的には、がん登録や

の隔年検査となる。日本よりも少ない検査回数にも関わ

死亡登録などとのリンケージを行って、検診の効果を検

らず、40%の大腸がん死亡抑制が達成されたことが、

証している。国レベルでの検診データが把握できていな

2021年に報告された14)。日本との大きな違いは実施体

い日本とは対照的で、精度管理に必要なデータを収集し

制、特にデータ管理の質であり、検診情報と住民登録情報

利活用することの重要性がわかる事例である。

2) 欧州の現状
欧州でも大腸がん検診の主流は便潜血検査であるが、

率上昇につながっている。ポーランドでも、2000年から

大腸内視鏡検査を対策型検診として導入している国もあ

一部の地域で任意型の内視鏡検診を導入し、検査体制や

る。ドイツでは、便潜血検査化学法による検診を1970年

データベースの整備を行ったうえで、2012年より対策型

代より導入していたが(2017年より免疫法へ切り替え)、

検診へと舵を切った16)。55-64歳の対象者に1度だけ検

2019年からは大腸内視鏡検診も選択できるようになっ

査を提供するもので、検査医や病理医へのトレーニング

た15)。男性は50歳、女性は55歳以上が対象で、10年間あ

体制も確立し、精度管理に力を入れている。しかし、ポーラ

ければ最大で2回まで受診することができる。新規の受診

ンドでは便潜血検査は提供されておらず、また対象年齢

率は毎年2%程度にとどまるが、1度の受診で10年分の

も欧州での推奨(50-74歳)より限定的なため受診機会

検診は完了したことになるため、10年で20%以上の受診

に限りがあり、肝心の内視鏡検診受診者も18%程度に

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