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大腸がんファクトシート2024 (55 ページ)
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出典情報 | 大腸がん対策を推進するための「大腸がんファクトシート」公開(3/27)《国立がん研究センター》 |
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第6章
今後の方策
逆に、精密検査によりポリープが発見され切除された場
らの患者がサーベイランスをいつまで続ける必要がある
合、その後の診療でのサーベイランス間隔はガイドライ
のかについてのエビデンスは乏しいが、適切な時期に検
ンに明記されており 11)、切除したポリープの大きさや個
診へ戻すことができれば内視鏡検査の効果的な分配にも
数などによって1-5年後の検査が提案されている。これ
つながるため、さらなる検証が求められる。
2) 大腸がん検診実施体制の課題
がん検診が期待された効果を上げるためには、有効性
大腸内視鏡検診への期待も高まっているが、現在進行
の確立した方法を、徹底した精度管理の下で実施し、その
中の大規模試験で有効性が証明される必要があるのは
うえで受診率を高める必要がある。大腸がん検診におい
もちろんのこと、限られた医療資源である大腸内視鏡検
ては、他のがん検診のように指針外の方法が採用される
査の処理能力を把握しておくことも導入に向けて重要で
ことは少ないため、精度の高い便潜血検査の実施と受診
あり、それに応じた検診対象者の条件、精密検査後のサー
率の向上が目標となる。
ベイランス方針などを検討しておく必要がある。また前
住民検診における精度管理は、「技術・体制指標」や「プ
処置や検査による偶発症も大きな不利益と考えられるた
ロセス指標」をモニタリングすることにより行われている
め、その実態を正確に把握しておく必要がある。日本消化
が、職域検診には規定がなく、2018年に「職域における
器内視鏡学会が主導するデータベース(Japan
がん検診に関するマニュアル」が策定されたものの、当
Endoscopy Database: JED)等を活用して、悉皆性の
該マニュアルが十分に活用されているとはいいがたい
高いデータを収集する体制構築が求められる。
20,21)。精度管理が不十分な検診は、死亡率減少効果を得
受診率に関しても、第4期がん対策推進基本計画で明記
られないだけでなく、受診者の不利益につながる可能性
された60%を目標に、より一層引き上げる必要性がある
もある。職域検診に関する法的な位置づけも含めて、が
が、それに加えて不十分な精検受診率が検診の効率低下
ん検診全体の制度設計の検討が必要な状況にある。
につながっている可能性もあり、より強力な取り組みが求
現在広く用いられている便潜血検査は、右側結腸にお
められる。
いて病変の検出能が低く、死亡率減少効果も減弱するこ
そのためにも、国レベルで正確な検診データを把握す
とが報告されている。その弱点を克服すべく、便中DNA
る方法を確立することは急務であるが、検診対象者の半
検査や血液検体を用いた検査法などが開発されている
数程度が受診している職域検診の実態が把握できなけれ
が、国内では実用化に至っていない。さらには、血液検体
ば、日本のがん検診の現状把握とそれに続く改善のプロ
から同時に多数の癌を検出するMCED(Multicancer
セスは滞ったままとなる。組織型検診の導入、あるいはそ
early detection)検査という手法も開発され、検診への
れに匹敵する全数把握システムを構築することが、日本
導入に向けた研究が進んでいる。しかし現時点では、特に
の大腸がん検診をより効果的なものにする上で、重要な
検診として用いた場合の不利益(偽陽性、過剰診断)に関
課題である。
する検証が不十分であり、またそのための研究デザイン
も複雑であり、実用化までに克服しなければならない課
題が山積している。
ー 54 ー
今後の方策
逆に、精密検査によりポリープが発見され切除された場
らの患者がサーベイランスをいつまで続ける必要がある
合、その後の診療でのサーベイランス間隔はガイドライ
のかについてのエビデンスは乏しいが、適切な時期に検
ンに明記されており 11)、切除したポリープの大きさや個
診へ戻すことができれば内視鏡検査の効果的な分配にも
数などによって1-5年後の検査が提案されている。これ
つながるため、さらなる検証が求められる。
2) 大腸がん検診実施体制の課題
がん検診が期待された効果を上げるためには、有効性
大腸内視鏡検診への期待も高まっているが、現在進行
の確立した方法を、徹底した精度管理の下で実施し、その
中の大規模試験で有効性が証明される必要があるのは
うえで受診率を高める必要がある。大腸がん検診におい
もちろんのこと、限られた医療資源である大腸内視鏡検
ては、他のがん検診のように指針外の方法が採用される
査の処理能力を把握しておくことも導入に向けて重要で
ことは少ないため、精度の高い便潜血検査の実施と受診
あり、それに応じた検診対象者の条件、精密検査後のサー
率の向上が目標となる。
ベイランス方針などを検討しておく必要がある。また前
住民検診における精度管理は、「技術・体制指標」や「プ
処置や検査による偶発症も大きな不利益と考えられるた
ロセス指標」をモニタリングすることにより行われている
め、その実態を正確に把握しておく必要がある。日本消化
が、職域検診には規定がなく、2018年に「職域における
器内視鏡学会が主導するデータベース(Japan
がん検診に関するマニュアル」が策定されたものの、当
Endoscopy Database: JED)等を活用して、悉皆性の
該マニュアルが十分に活用されているとはいいがたい
高いデータを収集する体制構築が求められる。
20,21)。精度管理が不十分な検診は、死亡率減少効果を得
受診率に関しても、第4期がん対策推進基本計画で明記
られないだけでなく、受診者の不利益につながる可能性
された60%を目標に、より一層引き上げる必要性がある
もある。職域検診に関する法的な位置づけも含めて、が
が、それに加えて不十分な精検受診率が検診の効率低下
ん検診全体の制度設計の検討が必要な状況にある。
につながっている可能性もあり、より強力な取り組みが求
現在広く用いられている便潜血検査は、右側結腸にお
められる。
いて病変の検出能が低く、死亡率減少効果も減弱するこ
そのためにも、国レベルで正確な検診データを把握す
とが報告されている。その弱点を克服すべく、便中DNA
る方法を確立することは急務であるが、検診対象者の半
検査や血液検体を用いた検査法などが開発されている
数程度が受診している職域検診の実態が把握できなけれ
が、国内では実用化に至っていない。さらには、血液検体
ば、日本のがん検診の現状把握とそれに続く改善のプロ
から同時に多数の癌を検出するMCED(Multicancer
セスは滞ったままとなる。組織型検診の導入、あるいはそ
early detection)検査という手法も開発され、検診への
れに匹敵する全数把握システムを構築することが、日本
導入に向けた研究が進んでいる。しかし現時点では、特に
の大腸がん検診をより効果的なものにする上で、重要な
検診として用いた場合の不利益(偽陽性、過剰診断)に関
課題である。
する検証が不十分であり、またそのための研究デザイン
も複雑であり、実用化までに克服しなければならない課
題が山積している。
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