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資料1-2-6診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (49 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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95 自己免疫性肝炎
○ 概要
1.概要
自己免疫性肝炎は、肝細胞障害の成立に自己免疫機序が関与していると考えられる慢性に経過する肝
炎であり、中年以降の女性に好発することが特徴である。原則的には既知の肝炎ウイルス、アルコール、
薬物による肝障害、及び他の自己免疫疾患に基づく肝障害は除外される。また、治療に際し免疫抑制剤、
特にコルチコステロイド副腎皮質ステロイドが著効を奏す。一方、最近の調査により、急性肝炎様に発症す
る症例の存在が明らかとなっている。発症年齢は 60 歳を中心とする一峰性を示し、多くは中年以降の発症
であり、最近高齢
化がみられる。男女比は約1:61:4.3 で女性に多い。
2.原因
自己免疫性肝炎の病因は解明されていないが、日本人では 60%の症例で HLA-DR4 陽性、欧米では
HLA-DR3 と HLA-DR4 陽性例が多いことから何らかの遺伝的素因が関与していると思われる。
また、ウイルス感染(A 型肝炎ウイルス、Epstein-Barr ウイルス、サイトメガロウイルス、麻疹ウイルス)や
一部の薬剤が自己免疫性肝炎発症の誘因として報告されている。
3.症状
我が国では初発症状としては、倦怠感が 60%と最も多く、黄疸(35%)、食思不振(27%)がこれに次ぐ。ま
たウイルス性慢性肝炎では通常ない関節痛、発熱を初発とするものがそれぞれ約 15%にみられる。また、
合併する他の自己免疫疾患による症状を初発症状とするものもある。自己免疫疾患あるいは膠原病の合
併はおよそ 1/3 の症例でみられ、合併頻度の高いものとしては慢性甲状腺炎(9%程度)、シェーグレン症
候群(7%程度)、関節リウマチ(3%程度)がある。身体症候としては、他のウイルス性慢性肝炎、肝硬変と
異なることはない。
4.治療法
治療目標は血清トランスアミナーゼ(AST〔GOT〕、ALT〔GPT〕)の持続正常化である。第一選択薬は副腎
皮質ステロイドであるプレドニゾロンである。血清トランスアミナーゼと IgG の改善を指標にする。ステロイド
パルス療法による予後改善効果については、現時点では不明である。一方、急性肝不全(劇症肝炎・遅発
性肝不全)例にステロイドパルス療法を行う際には、感染症(特に真菌感染)に対する十分な注意が必要で
ある。2年間以上血清トランスアミナーゼと IgG が正常内で推移すれば、プレドニゾロンの中止も検討可能
である。しかし、血清トランスアミナーゼや IgG が持続的に正常化していない症例では、治療中止により高率
に再燃がみられる。治療を中止した症例の 80%で再燃がみられ、60%の症例は1年以内に再燃するため、
治療中止後も十分な経過観察が必要である。初回のプレドニゾロン治療に良好に反応した症例の多くでは、
再燃時においてもプレドニゾロンの増量により血清トランスアミナーゼの正常化を得ることができる。副腎皮
質ステロイド治療にもかかわらず再燃を繰り返す症例や副腎皮質ステロイドが使用できない症例では、免
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○ 概要
1.概要
自己免疫性肝炎は、肝細胞障害の成立に自己免疫機序が関与していると考えられる慢性に経過する肝
炎であり、中年以降の女性に好発することが特徴である。原則的には既知の肝炎ウイルス、アルコール、
薬物による肝障害、及び他の自己免疫疾患に基づく肝障害は除外される。また、治療に際し免疫抑制剤、
特にコルチコステロイド副腎皮質ステロイドが著効を奏す。一方、最近の調査により、急性肝炎様に発症す
る症例の存在が明らかとなっている。発症年齢は 60 歳を中心とする一峰性を示し、多くは中年以降の発症
であり、最近高齢
化がみられる。男女比は約1:61:4.3 で女性に多い。
2.原因
自己免疫性肝炎の病因は解明されていないが、日本人では 60%の症例で HLA-DR4 陽性、欧米では
HLA-DR3 と HLA-DR4 陽性例が多いことから何らかの遺伝的素因が関与していると思われる。
また、ウイルス感染(A 型肝炎ウイルス、Epstein-Barr ウイルス、サイトメガロウイルス、麻疹ウイルス)や
一部の薬剤が自己免疫性肝炎発症の誘因として報告されている。
3.症状
我が国では初発症状としては、倦怠感が 60%と最も多く、黄疸(35%)、食思不振(27%)がこれに次ぐ。ま
たウイルス性慢性肝炎では通常ない関節痛、発熱を初発とするものがそれぞれ約 15%にみられる。また、
合併する他の自己免疫疾患による症状を初発症状とするものもある。自己免疫疾患あるいは膠原病の合
併はおよそ 1/3 の症例でみられ、合併頻度の高いものとしては慢性甲状腺炎(9%程度)、シェーグレン症
候群(7%程度)、関節リウマチ(3%程度)がある。身体症候としては、他のウイルス性慢性肝炎、肝硬変と
異なることはない。
4.治療法
治療目標は血清トランスアミナーゼ(AST〔GOT〕、ALT〔GPT〕)の持続正常化である。第一選択薬は副腎
皮質ステロイドであるプレドニゾロンである。血清トランスアミナーゼと IgG の改善を指標にする。ステロイド
パルス療法による予後改善効果については、現時点では不明である。一方、急性肝不全(劇症肝炎・遅発
性肝不全)例にステロイドパルス療法を行う際には、感染症(特に真菌感染)に対する十分な注意が必要で
ある。2年間以上血清トランスアミナーゼと IgG が正常内で推移すれば、プレドニゾロンの中止も検討可能
である。しかし、血清トランスアミナーゼや IgG が持続的に正常化していない症例では、治療中止により高率
に再燃がみられる。治療を中止した症例の 80%で再燃がみられ、60%の症例は1年以内に再燃するため、
治療中止後も十分な経過観察が必要である。初回のプレドニゾロン治療に良好に反応した症例の多くでは、
再燃時においてもプレドニゾロンの増量により血清トランスアミナーゼの正常化を得ることができる。副腎皮
質ステロイド治療にもかかわらず再燃を繰り返す症例や副腎皮質ステロイドが使用できない症例では、免
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