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資料1-2-6診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (7 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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85 特発性間質性肺炎
○ 概要
1.概要
間質性肺炎とは、胸部 X 線写真や CT 画像にて両側びまん性の陰影を認める疾患のうち、肺の間質を炎
症や線維化病変の場とする疾患の総称である。間質性肺炎の原因は多岐にわたり、職業・環境性や薬剤
など原因の明らかなものや、膠原病・サルコイドーシスなどの全身性疾患に付随して発症するものとともに、
原因が特定できないものが含まれる。またそのうち、特発性間質性肺炎(IIPs)は原因を特定しえない間質
性肺炎の総称であり、特発性肺線維症(IPF)などの79疾患に分類される。
2.原因
原因は不明である。多様な遺伝的背景に加え、環境因子の影響を受ける慢性炎症や繰り返す肺胞上皮
損傷の関与が想定されている。直接の原因ではなくても間接的な影響を与える「危険因子」として最も重要
なのが喫煙であり、特に IPF には喫煙者が多い。なお、明らかな原因となるような粉じん曝露は IPF の除外
疾患になる。こうした危険因子を含む環境因子に過剰に反応すると思われる遺伝子多型の報告は少なくな
いが、明らかな遺伝性を示す間質性肺炎は家族性肺線維症として区別される。サーファクタント蛋白やその
放出する機序分泌機序、あるいはテロメアーゼに関わる遺伝子の異常の中に、家族性肺線維症の原因と
なるものが知られている。
3.症状
IIPsの中で最も頻度の高い IPF の発症は通常緩徐で、検診発見例では無症状の場合もあるが、乾性咳
嗽や労作時呼吸困難を主症状とする。進行すればチアノーゼ、肺性心、末梢性浮腫などがみられる。肺以
外の症状はみられない場合も多いが、体重減少、倦怠、疲労が認められることがある。また、IPF の経過中、
急速に呼吸不全が進行する急性増悪を来すこともある。IPF 以外の IIPs の臨床像・経過は様々で、急性・
亜急性に発症するものもあるが、主症状は乾性咳嗽及び労作時呼吸困難である。なお、合併症として肺癌、
肺高血圧症、急性増悪、気腫性病変(気腫合併肺線維症)、肺感染症(特にアスペルギルスなどの真菌)な
どがある。
4.治療法
IIPs に含まれる79疾患のうち IPF と IPF 以外の68疾患に対しての治療方針は基本的には異なるが、一
般に IPF 以外ではステロイドや免疫抑制薬を中心とした治療薬を用いる。難治性で進行性の肺線維症であ
る IPF に対しては根治療法が存在せず、従来対症療法が中心であったが、最近では新しい治療の有効性
が臨床試験により示されている。特に IPF の治療薬として認可された抗線維化薬 pirfenidone、nintedanib は、
世界的にもその効果が証明され注目されている。IPF 患者に対しては病態に応じての多段階治療が推奨さ
れているが、そのエビデンスはまだ確立されていない。また、HRCT 画像で蜂巣肺所見が確認されても、自
覚症状もなく安定している場合には、無治療で経過観察を行うこともある。患者の希望があれば Nacetylcysteine (NAC)の吸入療法なども試みられる。咳嗽や労作時呼吸困難などが悪化する場合には、
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○ 概要
1.概要
間質性肺炎とは、胸部 X 線写真や CT 画像にて両側びまん性の陰影を認める疾患のうち、肺の間質を炎
症や線維化病変の場とする疾患の総称である。間質性肺炎の原因は多岐にわたり、職業・環境性や薬剤
など原因の明らかなものや、膠原病・サルコイドーシスなどの全身性疾患に付随して発症するものとともに、
原因が特定できないものが含まれる。またそのうち、特発性間質性肺炎(IIPs)は原因を特定しえない間質
性肺炎の総称であり、特発性肺線維症(IPF)などの79疾患に分類される。
2.原因
原因は不明である。多様な遺伝的背景に加え、環境因子の影響を受ける慢性炎症や繰り返す肺胞上皮
損傷の関与が想定されている。直接の原因ではなくても間接的な影響を与える「危険因子」として最も重要
なのが喫煙であり、特に IPF には喫煙者が多い。なお、明らかな原因となるような粉じん曝露は IPF の除外
疾患になる。こうした危険因子を含む環境因子に過剰に反応すると思われる遺伝子多型の報告は少なくな
いが、明らかな遺伝性を示す間質性肺炎は家族性肺線維症として区別される。サーファクタント蛋白やその
放出する機序分泌機序、あるいはテロメアーゼに関わる遺伝子の異常の中に、家族性肺線維症の原因と
なるものが知られている。
3.症状
IIPsの中で最も頻度の高い IPF の発症は通常緩徐で、検診発見例では無症状の場合もあるが、乾性咳
嗽や労作時呼吸困難を主症状とする。進行すればチアノーゼ、肺性心、末梢性浮腫などがみられる。肺以
外の症状はみられない場合も多いが、体重減少、倦怠、疲労が認められることがある。また、IPF の経過中、
急速に呼吸不全が進行する急性増悪を来すこともある。IPF 以外の IIPs の臨床像・経過は様々で、急性・
亜急性に発症するものもあるが、主症状は乾性咳嗽及び労作時呼吸困難である。なお、合併症として肺癌、
肺高血圧症、急性増悪、気腫性病変(気腫合併肺線維症)、肺感染症(特にアスペルギルスなどの真菌)な
どがある。
4.治療法
IIPs に含まれる79疾患のうち IPF と IPF 以外の68疾患に対しての治療方針は基本的には異なるが、一
般に IPF 以外ではステロイドや免疫抑制薬を中心とした治療薬を用いる。難治性で進行性の肺線維症であ
る IPF に対しては根治療法が存在せず、従来対症療法が中心であったが、最近では新しい治療の有効性
が臨床試験により示されている。特に IPF の治療薬として認可された抗線維化薬 pirfenidone、nintedanib は、
世界的にもその効果が証明され注目されている。IPF 患者に対しては病態に応じての多段階治療が推奨さ
れているが、そのエビデンスはまだ確立されていない。また、HRCT 画像で蜂巣肺所見が確認されても、自
覚症状もなく安定している場合には、無治療で経過観察を行うこともある。患者の希望があれば Nacetylcysteine (NAC)の吸入療法なども試みられる。咳嗽や労作時呼吸困難などが悪化する場合には、
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