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資料1-2-3診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (20 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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315 ネイルパテラ症候群(爪膝蓋骨症候群)/LMX1B 関連腎症
○ 概要
1.概要
ネイルパテラ症候群(爪膝蓋骨症候群)/LMX1B 関連腎症は、爪形成不全、膝蓋骨の低形成あるいは
無形成、腸骨の角状突起(iliac horn)、肘関節の異形成を4主徴とする遺伝性疾患である。しばしば腎症を
発症し、一部は末期腎不全に進行する。原因は LMX1B 遺伝子変異である。
爪、膝蓋骨、腸骨などの変化を伴わず、腎症だけを呈するネイルパテラ症候群様腎症(nail-patella-like
renal disease:NPLRD)や巣状分節性糸球体硬化症患者にも、LMX1B 遺伝子変異を原因とする例が存在
する。これら一連の疾患群は LMX1B 関連腎症と呼ばれる。
2.原因
ネイルパテラ症候群の原因は LMX1B の遺伝子変異である。本症候群の大部分(9割近く)において

LMX1B 遺伝子変異が同定され、これまでに 130 種類以上の変異が報告されている。
また NPLRD の一部の症例で LMX1B 遺伝子変異が同定されている。さらに次世代シークエンス技術の
進歩により、巣状分節性糸球体硬化症患者やステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患者においても LMX1B
変異が見いだされる場合がある。
腎症発症メカニズムとしてはこれらの症例はいずれも LMX1B 変異による腎糸球体上皮細胞機能障害が
推定される。
3.症状
(1)ネイルパテラ症候群(爪膝蓋骨症候群)
爪形成不全、膝蓋骨の低形成あるいは無形成、腸骨の角状突起(iliac horn)、肘関節の異形成がみら
れるが、このうちの1つあるいは複数の症状のみを呈する場合がある。また緑内障・眼圧亢進が一般集
団より高頻度に、より若年でみられる。
約半数に腎症を合併する。症状としては無症候性の蛋白尿や血尿がみられるが、高度蛋白尿やネフ
ローゼ症候群を呈することがある。腎予後については高齢まで比較的保たれる場合が多いとされるもの
の、若年から腎機能低下を来し、腎不全に至る症例が一部存在する。腎機能低下は高度な蛋白尿を呈
する症例に顕著である。
組織学的には光学顕微鏡レベルでは特異的な所見はないが、特徴的な所見としては電子顕微鏡所見
では糸球体基底膜が不規則に肥厚し、またその緻密層に虫食い像(moth-eaten appearance)や III 型コ
ラーゲンの沈着を認める。
(2)LMX1B 関連腎症
腎外合併症はなく、腎症(蛋白尿あるいは血尿)、腎機能障害を呈する。ネイルパテラ症候群の腎組織
像と同様の電子顕微鏡所見を示す場合と、示さない場合が報告されている。ある。一部の症例では電子
顕微鏡所見としてファブリー病でみられるミエリン様構造物(myelin figures)やゼブラ小体(zebra bodies)を
認めることがある。小児期から中年期にかけて腎機能が低下し、一部の症例では末期腎不全に至る。
4.治療法

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