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資料1-2-3診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (44 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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43 顕微鏡的多発血管炎
○ 概要
1.概要
1994 年 に Chapel Hill で 開 か れ た 国 際 会 議 に お い て 、 こ れ そ れ ま で 結 節 性 多 発 動 脈 炎
(periarteritispolyarteritis nodosa:PAN)と診断されていた症例のうち、中型の筋性動脈に限局した壊死性
血管炎のみが結節性多発動脈炎と定義され、小血管(毛細血管、細小動・静脈)を主体とした壊死性血管
炎は別の疾患群として区別された。後者は、血管壁への免疫複合体沈着がほとんどみられないことと抗好
中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)陽性率が高いことを特徴とし、ANCA 関連血
管炎症候群と定義された。このうち、肉芽腫性病変のみられないものが顕微鏡的多発血管炎(microscopic
polyangiitis:MPA)と定義され、多発血管炎性肉芽腫症や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と区別される。
男女比はほぼ1:1で、好発年齢は 55~74 歳と高齢者に多い。年間発症率は日本で 18.2 人/百万人、ドイ
ツにおけるでは3人/百万人から、英国におけるでは 8.4 人/百万人と報告されている。
2.原因
原因はいまだに不明である。しかし、好中球の細胞質に含まれる酵素タンパク質であるミエロペルオキダ
ーゼ(MPO)に対する自己抗体(MPO-ANCA)が高率に検出されることから、他の膠原病と同様に自己免疫
異常が背景に存在すると考えられており、この ANCA が小型血管の炎症に関わることが分かってきた。日
本人集団における遺伝的素因として、HLA-DRB1*0901 は MPA と関連し、HLA-DRB1*13:02 は MPA の疾
患抵抗性と関連する。
3.症状
発熱、体重減少、易疲労などの全身症状(約 70%)とともに、組織の出血や虚血・梗塞による徴候が出現
する。壊死性糸球体腎炎が最も高頻度であり、尿潜血、赤血球円柱と尿蛋白が出現し、血清クレアチニン
が上昇する。数週間から数か月で急速に腎不全に移行することが多いので、早期診断が極めて重要であ
る。結節性多発動脈炎に比べると高血圧は少ない(約 30%)。その他高頻度にみられるのは、皮疹(約
60%:紫斑、皮膚潰瘍、網状皮斑、皮下結節)、多発性単神経炎(約 60%)、関節痛(約 50%)、筋痛(約
50%)などである。肺毛細血管炎によると考えられている間質性肺炎(約 25%)や肺胞出血(約 10%)を併
発すると咳、労作時息切れ、頻呼吸、血痰、喀血、低酸素血症を来す。心筋病変による心不全は約 18%に
みられるが、消化管病変は約 20%と他の ANCA 関連血管炎に比べて少ない。
4.治療法
(1)可能であれば組織生検により血管炎を証明し、可及的早期に確定診断し、迅速に寛解導入療法を開始
することが長期的予後を改善する上で重要である。
(2)一旦寛解導入されたら(治療開始から3~6か月以内が多い)、副腎皮質ステロイドを維持量まで漸減す
る。寛解導入療法でシクロホスファミドを使用している場合には、他の免疫抑制薬(アザチオプリン、MTX)
に変更する。

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