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資料1-2-3診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (88 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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47 バージャー病
○ 概要
1.概要
閉塞性血栓血管炎とも呼ばれ、四肢の主幹動脈に閉塞性の血管全層炎を来す疾患である。特に下肢動
脈に好発して、虚血症状として間欠性跛行や安静時疼痛、虚血性皮膚潰瘍、壊疽(特発性脱疽とも呼ばれ
る)を来す。また、しばしば表在静脈にも炎症を来し(遊走性静脈炎)、まれに大動脈や内臓動静脈にも病
変を来す。従前「ビュルガー病」と呼ばれていた。
2.原因
特定の HLA(human leukocyte antigen)と本症発症の関連性が強く疑われており、ある遺伝性素因に何ら
かの刺激が加わると発症するとの説が有力であるが、原因はいまだ不明である。発症には喫煙が強く関与
しており、喫煙による血管攣縮が誘因になると考えられている。最近の疫学調査では患者の 93%に明らか
な喫煙歴を認め、受動喫煙を含めるとほぼ全例が喫煙と関係があると考えられるが、発症の機序は不明で
ある。歯周病との関連が疑われ、検討が行われている。
3.症状
四肢主幹動脈に多発性の分節的閉塞を来すため、動脈閉塞によって末梢の虚血の程度に応じた症状を認
める。虚血が軽度の時は、冷感やしびれ感、寒冷暴露曝露時のレイノー現象を認め、高度となるに従いした
がい間欠性跛行や安静時疼痛が出現し、虚血が最も高度となると、四肢に潰瘍や壊死を形成して特発性脱
疽と呼ばれる状態となる。遊走性静脈炎(皮下静脈の発赤、硬結、疼痛など)およびその既往も主要な症状の
1つである。
また、爪の発育不全や皮膚の硬化、胼胝を伴い、わずかな刺激で難治性の潰瘍を形成する。最近増加し
ている閉塞性動脈硬化症と同様な症状であるため、鑑別診断に注意を要する。
4.治療法
受動喫煙を含め、禁煙を厳守させることが最も大切であり、このために適切な禁煙指導を行う必要がある。
また患肢の保温、保護に努めて靴ずれなどの外傷を避け、歩行訓練や運動療法を基本的な治療として行
う。
薬物療法としては抗血小板薬や抗凝固薬、プロスタグランジンE1 製剤の静注などが行われる。重症例に
対しては末梢血管床が良好であれば、バイパス術などの血行再建再建術を行う。
血行再建再建術が適応外とされる症例では、交感神経節切除術や交感神経節ブロックが行われている。
標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な場合には、 肝細胞増殖因子
(hepatocyte growth factor 、HGF)を用いた治療について検討が進んでいる適用される。
5.予後
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○ 概要
1.概要
閉塞性血栓血管炎とも呼ばれ、四肢の主幹動脈に閉塞性の血管全層炎を来す疾患である。特に下肢動
脈に好発して、虚血症状として間欠性跛行や安静時疼痛、虚血性皮膚潰瘍、壊疽(特発性脱疽とも呼ばれ
る)を来す。また、しばしば表在静脈にも炎症を来し(遊走性静脈炎)、まれに大動脈や内臓動静脈にも病
変を来す。従前「ビュルガー病」と呼ばれていた。
2.原因
特定の HLA(human leukocyte antigen)と本症発症の関連性が強く疑われており、ある遺伝性素因に何ら
かの刺激が加わると発症するとの説が有力であるが、原因はいまだ不明である。発症には喫煙が強く関与
しており、喫煙による血管攣縮が誘因になると考えられている。最近の疫学調査では患者の 93%に明らか
な喫煙歴を認め、受動喫煙を含めるとほぼ全例が喫煙と関係があると考えられるが、発症の機序は不明で
ある。歯周病との関連が疑われ、検討が行われている。
3.症状
四肢主幹動脈に多発性の分節的閉塞を来すため、動脈閉塞によって末梢の虚血の程度に応じた症状を認
める。虚血が軽度の時は、冷感やしびれ感、寒冷暴露曝露時のレイノー現象を認め、高度となるに従いした
がい間欠性跛行や安静時疼痛が出現し、虚血が最も高度となると、四肢に潰瘍や壊死を形成して特発性脱
疽と呼ばれる状態となる。遊走性静脈炎(皮下静脈の発赤、硬結、疼痛など)およびその既往も主要な症状の
1つである。
また、爪の発育不全や皮膚の硬化、胼胝を伴い、わずかな刺激で難治性の潰瘍を形成する。最近増加し
ている閉塞性動脈硬化症と同様な症状であるため、鑑別診断に注意を要する。
4.治療法
受動喫煙を含め、禁煙を厳守させることが最も大切であり、このために適切な禁煙指導を行う必要がある。
また患肢の保温、保護に努めて靴ずれなどの外傷を避け、歩行訓練や運動療法を基本的な治療として行
う。
薬物療法としては抗血小板薬や抗凝固薬、プロスタグランジンE1 製剤の静注などが行われる。重症例に
対しては末梢血管床が良好であれば、バイパス術などの血行再建再建術を行う。
血行再建再建術が適応外とされる症例では、交感神経節切除術や交感神経節ブロックが行われている。
標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な場合には、 肝細胞増殖因子
(hepatocyte growth factor 、HGF)を用いた治療について検討が進んでいる適用される。
5.予後
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