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資料1-2-13診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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<診断基準>
ペルオキシソームβ酸化系酵素欠損症の診断基準
A.症状
各臨床病型の所見は以下の通りである。
1.アシル CoA オキシダーゼ1(AOX1)欠損症
新生児期からの筋緊張低下と乳児期以降のけいれん、発達の遅れと2歳前後からの退行が認められる。
顔貌異常は軽度もしくは明らかでない症例も多く、その他の症状としては眼振や視覚・聴覚障害、発育障害な
どに加えて、約半数に肝種大を認める。平均生存年齢は5歳(4~10 歳)とされているが、成人生存例も見つ
かっている。
2.D-二頭酵素(DBP)欠損症
ほとんどが新生児期からの筋緊張低下と1か月以内のけいれんを認める。その多くは脳波異常が認めら
れ、一部には点頭てんかんを認める。さらに哺乳不良や成長障害、眼振、視覚・聴覚障害に、ツェルベーガー
症候群類似の前額突出、大泉門開大、眼間開離、鼻根部扁平、高口蓋、小顎症、耳介低位などの顔貌異常
に、肝腫大を認める。多くは2歳までに肺炎にて死亡するが、まれに、幼小児期の発症で緩徐な経過を示す
成人例も知られており、その臨床像は、難聴、小脳性運動失調、錐体路徴候、末梢神経障害などで、言語発
達の障害を防ぐために、難聴の早期診断と介入が重要である。
3.ステロールキャリアプロテイン X(SCPx)欠損症
17 歳より強直性斜頸、不随意運動、小脳症状を呈し、頭部 MRI で視床、橋に T2 高信号域を認めた 45 歳
男性患者が報告されている。
4.2-メチルアシル CoA ラセマーゼ(AMACR)欠損症
乳児期に肝障害、脂溶性ビタミンの欠乏を来すタイプと、成人発症の感覚運動ニューロパチーに網膜色素
変性、性腺機能低下、てんかん、発達遅滞、再発性の脳症などを伴うタイプが存在する。
B.検査所見
1.血中ペルオキシソーム代謝産物の測定(診断マーカー)
①極長鎖脂肪酸
C26:0、C25:0、C24:0 などの直鎖脂肪酸を基質とする AOX と DBP 欠損症では極長鎖脂肪酸の蓄積を
認める。特に AOX ではその基質特異性より、直鎖の極長鎖脂肪酸の蓄積が唯一の生化学的特徴であ
る。一方、SCPx と AMACR 欠損症では、主に分枝鎖脂肪酸を基質とするため、極長鎖脂肪酸の蓄積は
認めない。
②フィタン酸、プリスタン酸、胆汁酸中間代謝産物
ペルオキシソームβ酸化系ではプリスタン酸や胆汁酸の中間代謝産物 DHCA/THCA の分枝鎖脂肪酸の
短縮も行っているため、DBP や SCPx 欠損症では蓄積する傾向にある。また両者の R 体は AMACR に
より S 体に変換されてからβ酸化を受けるため、AMACR 欠損症でも蓄積を認める。さらにプリスタン酸の

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