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資料1-2-13診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (31 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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238 ビタミン D 抵抗性くる病/骨軟化症
○ 概要
1.概要
別名、低リン血症性くる病・骨軟化症と呼ばれる疾患である。このうち、成長軟骨帯閉鎖以前に発症する
ものを、くる病と呼んでいる。くる病・骨軟化症は、骨石灰化障害を特徴とする疾患で、下記の症状により、
罹患患者の QOL を重度に障害しうる。ビタミン D 欠乏性くる病・骨軟化症とは異なり、天然型ビタミン D に
より完治しない。
2.原因
近年の研究により、ビタミン D 抵抗性くる病・骨軟化症の多くは、繊維線維芽細胞増殖因子 23(fibroblast
growth factor23:FGF23)の過剰産生によるもの FGF23 関連低リン血症性くる病/骨軟化症であることが明
らかにされてきたされた。FGF23 は、腎尿細管リン再吸収と、血中 1,25-水酸化ビタミン D 濃度の低下を介
する腸管リン吸収の抑制により、血中リン濃度を低下させるホルモンである。FGF23 は、生理的には骨で産
生されるものと考えられている。X 染色体顕性低リン血症性くる病(X-linked hypophosphatemic rickets: XLH)
などの遺伝性のビタミン D 抵抗性くる病では、いくつかの遺伝子異常により骨での FGF23 産生が亢進する
ものと考えられている。ただし、これらの原因遺伝子変異がどのような機序により FGF23 を促進しているか
は不明である。また、後天性ビタミン D 抵抗性骨軟化症の代表的疾患である腫瘍性骨軟化症では、
PMTMCT(Phosphaturicphosphaturic mesenchymal tumor, mixed connective tissue variant)などの腫瘍より
FGF23 が過剰産生される。この場合にも、腫瘍による FGF23 過剰産生の機序は不明である。さらに経静脈
鉄製剤により、FGF23 高値を伴う低リン血症性くる病/骨軟化症が惹起されることがある。
3.症状
ビタミン D 抵抗性くる病では、O 脚や X 脚などの骨変形、成長障害、脊柱の湾曲、頭蓋癆、大泉門の開
離、肋骨念珠、関節腫脹が生じうる。ビタミン D 抵抗性骨軟化症では、筋力低下や骨痛が主徴となる。適切
な治療が行われないと、著明な筋力低下から、ビタミン D 抵抗性骨軟化症患者は完全に寝たきりとなってし
まう場合もある。
4.治療法
リン製剤と活性型ビタミン D3 製剤が、使用されている。ただし、これらは病因に基づく治療ではなく、また
下痢や高カルシウム血症などによる腎機能障害、二次性副甲状腺機能亢進症などの有害事象が問題とな
る場合がある。またヒト抗 FGF23 モノクローナル抗体であるブロスマブが、2019 年に本邦で認可された。腫
瘍性骨軟化症は、原因腫瘍の完全摘除が治療の第一選択である。腫瘍が摘除できない場合は、内科的治
療を行う。経静脈鉄製剤による低リン血症性くる病/骨軟化症の場合には、薬剤の中止により病態は改善
する。
5.予後

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