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資料1-2-13診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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236 偽性副甲状腺機能低下症
○ 概要
1.概要
副甲状腺ホルモン(PTH)が正常に分泌されているにもかかわらず、PTH に対して標的組織が抵抗性を示
し、低カルシウム血症、高リン血症など、副甲状腺機能低下症と同じような症状を呈する病態である。偽性
副甲状腺機能低下症にオルブライト遺伝性骨ジストロフィー(Albright hereditary osteodystrophy:AHO)の
症候を合併する病型を Ia 型、合併しないものを Ib 型と呼ぶ臨床的に診断する。その他に Ic 型、II 型の病型
が提唱されているが、Ic 型の区分は意義が確立されておらず Ia 型に含まれるものとし、II 型は独立した疾
患として存在区分する必要性がないというのが現在のか疑問視されている考え方である。
2.原因
PTH の受容体である PTH/PTHrP 受容体(PTHR1)と、細胞内シグナル伝達系のサイクリック AMP(cAMP)
を生成するアデニルシクラーゼ(adenylyl cyclase:AC)との間に介在する Gsα タンパクの活性低下が原因
である。Gsα タンパクをコードする GNAS 遺伝子領域は複雑なインプリンティング調節を受けている。母由
来アリルの Gsα タンパク発現と父由来アリルの Gsα タンパク発現抑制には組織特異性があり、多くのホ
ルモン標的組織では母由来アリルの発現が優位であるために異常 Gsα タンパクをコードする遺伝子が母
から由来したときにはホルモン抵抗性を来しきたし偽性副甲状腺機能低下症 Ia 型となる。一方、異常 Gsα
タンパクをコードする遺伝子が父から由来したときには子はホルモン抵抗性を伴わない偽性偽性副甲状腺
機能低下症、あるいは進行性骨異形成症(progressive osseous heteroplasia)となる。
Ib 型では GNAS 遺伝子近傍の DNA メチル化パターン異常がみられ Gsα タンパク発現量の低下が原因
であると推測されるが、その機序は不明である。
3.症状
低カルシウム血症による症状は、口周囲や手足などのしびれ感・錯感覚、テタニー、喉頭痙攣、全身痙攣
が問題主なものである。これに加え、白内障や大脳基底核の石灰化、抑うつ、不整脈、皮膚や毛髪の異常
など、多彩な症候を呈しうる。が生じることもある。慢性の低カルシウム血症や高リン血症により、白内障や
脳内異常石灰化(主に大脳基底核)がみられることがある。PTH 以外のホルモンに対する抵抗性をしめす
示す症例があり、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症を、成長ホルモン分泌不全が合併しうる。Ia 型では
低カルシウム血症に気づかれる前に、家族歴や合併することがある。AHO の症候を合併する場合契機に
診断されることがある多くなっている。AHO の症候とは、異所性皮下骨化、肥満、短指趾症、円形顔貌、肥
満、低身長、知能障害で精神運動発達遅滞である。Ia 型の早期症状として、原発性甲状腺機能低下症、異
所性骨化、2 歳以前からの早期肥満に注意する必要がある。
4.治療法
低カルシウム血症に対して活性型ビタミン D 投与により治療する。TSH 抵抗性による甲状腺機能低下症
を合併する場合には甲状腺ホルモン薬の補充療法、GHRH 抵抗性による成長ホルモン分泌不全を合併す

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