よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2-13診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (65 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

250 グルタル酸血症2型
○ 概要
1.概要
ミトコンドリア内の電子伝達フラビン蛋白(electron transfer flavoprotein:ETF)及びまたは ETF 脱水素酵
素(ETF dehydrogenase:ETFDH)の先天的欠損により生じる疾患である。ETF 及び ETFDH はミトコンドリア
内におけるβ酸化経路を含む複数の脱水素酵素反応によって生じる電子を電子伝達系に供給する。このた
め、マルチプルアシル複合アシル CoA 脱水素酵素欠損症などと記載されることもある。臨床像は幅広い。
新生児期に種々の奇形や多嚢胞性嚢胞腎を合併し、極めて重篤な代謝性アシドーシス等で発症し早期に
死亡する例から、乳幼児期に代謝性アシドーシスや低血糖、筋力低下として発症する症例、成人期に発症
し筋痛、筋力低下を契機に診断される症例もある。遺伝形式は常染色体劣性である。我が国における新生
児マススクリーニングのパイロット研究の結果によると約 3133 万人に1人の発見頻度である。
2.原因
ミトコンドリア内の電子伝達フラビン蛋白(electron transfer flavoprotein:ETF)及びまたは ETF 脱水素酵
素(ETF dehydrogenase:ETFDH)の先天的欠損が原因となる。原因遺伝子に ETFA、ETFB 及び ETFDH が
あり、それぞれは ETFα 、ETFβ 及び ETFDH に対応する。本疾患では遺伝子型と表現型にある程度の明
らかな対応はない相関があると言われており、ETFDH の変異症例には乳幼児期以降に発症する例が多い
傾向はある。
3. 症状
本症は重症度や発症年齢から1)新生児期発症型、2)乳幼児・学童期発症型、及び3)成人発症型、の
三病型に分けることができる。新生児発症型は、生後早期からの重篤な心筋症、心不全、非ケトン性低血
糖を有する症例が多い。出生時から Potter 様顔貌や多嚢胞性嚢胞腎などの奇形を伴う場合、これらの異
常は伴わない場合がある。いずれもきわめて予後不良であり、治療に反応せず出生後早期に死亡すること
が多い。乳幼児・学童期発症型は、発症形態を2つに大別できる。すなわち A)主に乳幼児期に低血糖やラ
イ(Reye)様症候群として発症する場合、B)主に学童期以降に横紋筋融解症やミオパチーなどの骨格筋症
状として発症する場合である。前者は他の脂肪酸代謝異常症と同様、感染や飢餓が契機となることが多い。
後者は飢餓に加えて運動などの骨格筋への負荷が誘因となる場合も少なくない。成人発症型は青年期以
降に筋力低下や筋痛などを主要な症状として発症する。小児期には低血糖、筋力低下などの症状は原則
として認めない。
4.治療法
急性期は対症的な治療に加え、十分量のブドウ糖を供給し、早期に異化亢進の状態を脱することが重
要である。本疾患では分子鎖アミノ酸やリジン・トリプトファンの代謝過程の脱水素酵素も阻害されるので、
有機酸代謝異常症に準じた治療も栄養療法が必要でな症例もある。
安定期の治療は異化亢進の予防が非常に重要となる。特に乳幼児においては飢餓状態を防ぐことが重

- 65-