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資料1-2-16診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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資料1-2-16
(診断基準等のアップデート案(見え消し))
293 総排泄腔遺残
取扱注意
○ 概要
1.概要
総排泄腔遺残症は、女児の直腸肛門奇形の特殊型で、尿道、腟、直腸が総排泄腔という共通管に合流し、
共通管のみが会陰部に開口する特殊稀少難治性疾患である。総排泄腔は胎生5~9週にかけて直腸と尿
路に分離する組織であるが、この分離過程が障害され発生する。直腸肛門形成の他に腟形成が必要で、
幼少期に手術された腟は、長期的に狭窄や閉鎖などの問題点が多く、思春期に入ってのブジーや腟口形
成などの治療が必要となる。病型には、variation が多く、適切な治療には各症例の病態理解と経験が必要
である。発生頻度は、出生6~10 万に1人とされ、平成 262014 年の全国調査集計では 466 例が集計され、
最近 30 年間6~10 万出生に1人の発生頻度は約 10 万の出生に1人割合であった発生していた。
2.原因
泌尿生殖隔膜が総排泄腔を直腸と尿路に分離するが、魚類で Wtip (WT-1-interacting protein)を knockout すると、腎嚢胞や総排泄腔遺残が発生し、マウスでは、Shh-Wif1-β-catenin 遺伝子カスケードに異常が
あると総排泄腔遺残が発生する。しかし、ヒトでの詳細な発生機序は不明である。
3.症状
直腸が総排泄腔に開口するため排便ができない。そのため生下時に横行結腸を用いた人工肛門を造設
する。尿道も総排泄腔に開口するが、総排泄腔を通じで排尿できる場合とできない場合があり、排尿障害
が存在する場合は、間欠的導尿や膀胱皮膚瘻/膀胱瘻の造設が必要となる。また、胎生期から排尿障害
が発生すると水腟症を合併し、胎便が腹腔に漏れ胎便性腹膜炎を合併し、腹腔ドレナージが生直後に必要
となる。腟に関しては、放置すると思春期に月経流出路障害から、子宮・腟留血症が発生するため、早期に
一期的腟形成を行うか、腟の形成が不十分な場合は、思春期に直腸、小腸を用いた代用腟形成を行う。
4.治療法
新生児期は、人工肛門造設する。総排泄腔が3cm 未満の場合、幼児期に一期的腟・肛門形成を行う。後
矢状切開による肛門・腟形成の他に、腟の形成には skin flap を用いた腟形成、TUM(Total urogenital
mobilization)などがある。創排泄腔が3cm 以上の場合は、腟が低形成の場合が多く、空腸や直腸を用いた
代用腟作成を行う。早期に腟形成を行った場合は、腟孔狭窄予防のため継続した腟ブジーが必要である。
5.予後
平成 262014 年の全国統計調査では、腟形成後の長期的問題点として、月経異常例が3割、月経血流出
路障害例狭窄が 41.4%に認められ、そのうち 91.4%が2割であった。急性腹症、65.8%に月経困難症を呈
していた。術後排便機能は比較的良好で、膀胱約 8 割で禁制が保たれ、排尿機能障害例は3割、清潔間
欠自己導尿施行例は2割も 6 割であった良好な自排尿が獲得されている。
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(診断基準等のアップデート案(見え消し))
293 総排泄腔遺残
取扱注意
○ 概要
1.概要
総排泄腔遺残症は、女児の直腸肛門奇形の特殊型で、尿道、腟、直腸が総排泄腔という共通管に合流し、
共通管のみが会陰部に開口する特殊稀少難治性疾患である。総排泄腔は胎生5~9週にかけて直腸と尿
路に分離する組織であるが、この分離過程が障害され発生する。直腸肛門形成の他に腟形成が必要で、
幼少期に手術された腟は、長期的に狭窄や閉鎖などの問題点が多く、思春期に入ってのブジーや腟口形
成などの治療が必要となる。病型には、variation が多く、適切な治療には各症例の病態理解と経験が必要
である。発生頻度は、出生6~10 万に1人とされ、平成 262014 年の全国調査集計では 466 例が集計され、
最近 30 年間6~10 万出生に1人の発生頻度は約 10 万の出生に1人割合であった発生していた。
2.原因
泌尿生殖隔膜が総排泄腔を直腸と尿路に分離するが、魚類で Wtip (WT-1-interacting protein)を knockout すると、腎嚢胞や総排泄腔遺残が発生し、マウスでは、Shh-Wif1-β-catenin 遺伝子カスケードに異常が
あると総排泄腔遺残が発生する。しかし、ヒトでの詳細な発生機序は不明である。
3.症状
直腸が総排泄腔に開口するため排便ができない。そのため生下時に横行結腸を用いた人工肛門を造設
する。尿道も総排泄腔に開口するが、総排泄腔を通じで排尿できる場合とできない場合があり、排尿障害
が存在する場合は、間欠的導尿や膀胱皮膚瘻/膀胱瘻の造設が必要となる。また、胎生期から排尿障害
が発生すると水腟症を合併し、胎便が腹腔に漏れ胎便性腹膜炎を合併し、腹腔ドレナージが生直後に必要
となる。腟に関しては、放置すると思春期に月経流出路障害から、子宮・腟留血症が発生するため、早期に
一期的腟形成を行うか、腟の形成が不十分な場合は、思春期に直腸、小腸を用いた代用腟形成を行う。
4.治療法
新生児期は、人工肛門造設する。総排泄腔が3cm 未満の場合、幼児期に一期的腟・肛門形成を行う。後
矢状切開による肛門・腟形成の他に、腟の形成には skin flap を用いた腟形成、TUM(Total urogenital
mobilization)などがある。創排泄腔が3cm 以上の場合は、腟が低形成の場合が多く、空腸や直腸を用いた
代用腟作成を行う。早期に腟形成を行った場合は、腟孔狭窄予防のため継続した腟ブジーが必要である。
5.予後
平成 262014 年の全国統計調査では、腟形成後の長期的問題点として、月経異常例が3割、月経血流出
路障害例狭窄が 41.4%に認められ、そのうち 91.4%が2割であった。急性腹症、65.8%に月経困難症を呈
していた。術後排便機能は比較的良好で、膀胱約 8 割で禁制が保たれ、排尿機能障害例は3割、清潔間
欠自己導尿施行例は2割も 6 割であった良好な自排尿が獲得されている。
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