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資料1-2-16診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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4.治療法
ステロイド療法、プロプラノロール療法、mTOR 阻害剤療法、抗がん剤投与、血管腫塞栓療法、放射線照
射、外科手術、肝移植などが行われる。肝切除、肝動脈結紮などの外科手術のほか慢性期に肝移植も行
われる。
ステロイド療法が第一選択とされるが、本邦の調査では約 20%の症例では明らかな効果は認められず、
半数以上の症例ではステロイド療法単独で病態の制御は出来なかった。近年、β—ブロッカーのプロプラノ
ロールの効果が報告され、使用頻度が増している。抗がん剤ではビンクリスチンや、アクチノマイシン、サイ
クロフォスファミドを組み合わせて使用して有効であったとする報告がみられる。そのほか塞栓療法や外科
的治療も有効と考えられる。また慢性期の肝不全に対して肝移植も行われる。mTOR 阻害剤療法について
は血管腫、血管奇形ともに有用であるとする報告があるが、肝血管腫に関して有用であるとする強いエビ
デンスは得られていない。
このように様々な治療が報告されているが、治療抵抗性の症例に対する治療は確立されていない。
5.予後
平成 22~23 年度の本邦の調査では、過去5年間に生後1歳未満で治療を要した肝血管腫 19 例のうち3
例(15.7%)が死亡していた。これらには子宮内胎児死亡となった症例は含まれず、それを含めると死亡率
はさらに高い可能性がある。乳幼児期を薬物療法などで乗り切ると症状が安定して投薬も不要になる症例
がみられる一方、乳幼児期以降の慢性期肝不全症例1例は肝移植を要した。
○ 要件の判定に必要な事項
1. 患者数
100 人未満
2. 発病の機構
不明(血管内皮の腫瘍性増殖、血管形成異常の関与が推定されている。)
3. 効果的な治療方法
未確立(一部の症例に対してはステロイド療法、プロプラノロール療法が有効。放射線学的手技による血
管閉塞術、外科的切除なども試みられる。慢性期には肝移植が適応される。)
4. 長期の療養
必要(慢性進行性に肝機能低下が顕著となる症例があり、これらは長期の療養を要する。)
5. 診断基準
あり(日本小児外科学会承認の診断基準あり。)
6. 重症度分類
肝血管腫重症度分類を用いて、中等症以上を対象とする。
○ 情報提供元
「小児期からの消化器系希少難治性疾患群の包括的調査研究とシームレスなガイドライン作成研究班」
研究代表者 九州大学 小児外科 教授 田口智章

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